第6話 予感
あれから約一年が経った。その間エルドさんの指導のもと、魔力を自在に操ることができるようになってきた。
そしてだいたいの魔法は使えるようになってきた。
「よし、次はもうちょっと難しい魔法を教えてあげるよ」
エルドさんがそう言って、僕に新しい魔法の使い方を教えてくれた。
「それでは、試してみてくれ」
エルドさんの言葉に従って、僕は魔法を詠唱してみた。
すると、空中に大きな赤い球体が現れ、それがすごい速さで収束していく。
「すごい! これはなんですか?」
「これは上級火魔法だね。これを自由自在に操れるようになったら、強い敵を倒すのに役立つよ。まあ素材も残らず燃えちゃうけどね」
エルドさんが教えてくれた魔法はとても強力だった。
魔法の力は、人間が持つ力ではない。それは、世界のエネルギーそのものであり、誰もが使うことができる。
「君が独り立ちして冒険をする時のために応用力を身につけておく必要があるんだよ」
エルドさんはそう言って、次々に新しい魔法の使い方を教えてくれた。
「ユウト君。君の魔法の素質は本当に素晴らしいね」
「ありがとうございます。エルド師匠の教えのおかげです!」
「ユウト君の魔法属性は全属性だから教えがいがあるよ。もうそろそろ卒業かなあ。あ、そう言えば今日はクランシー君はどうしたんだい?」
「それがなんだか僕が魔法を使えるようになっていくのを見てて、自分も頑張らなきゃって思っちゃったみたいで、森に狩りに出かけるって聞かなかったんですよ。なんで竜なのに張り合おうとするのか、ほんとに困ったやつです」
「クランシー君は自分の力を試したいと思ったのかもしれないね。竜族は強い種族だけど、自分の力を見極めるためにも狩りをすることがあるんだ。ただ、クランシー君はまだ若いから、無茶をしてけがをする可能性もあるから気をつけてほしいけど、ってユウト君、魔力感知を使ってみてくれる? どうやら予想が当たっちゃったみたいだよ」
「はい、分かりました」
エルド師匠の指示に従い、魔力感知を行うと、森の奥深くで強い魔力を感じ取った。
「確かに、クランシーが森の奥深くにいるようです。その近くにも強い魔力を感じますね」
「そうだね。クランシー君が狩りをする魔物の魔力が強いのはわかるけど、それでもこの強さはちょっとまずいね。彼が何かを見つけたのかもしれない。クランシー君が無事であることを祈りたいね、森には危険がいっぱいだ」
エルドはそう言って、心配そうに顔をしかめ助けに行くよ、と走り出した。
僕も後を追い魔力を目印に走り出す。
竜族のクランシーが無事であるよう、心から祈りながら。
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