風邪を引いちゃうから
しばらくお姉ちゃんに頭を撫でられた私は、お姉ちゃんに眠くなってきたことを伝えて、扇風機にタイマーをつけてから、一緒にベッドに入った。
布団の中で、お姉ちゃんに抱きしめられてちょっと暑いけど、扇風機のおかげで、さっきリビングでお姉ちゃんがくっついてきた時よりは全然マシだと思う。
……布団に入ってるから、あんまり変わらない気がしなくもないけど、多分変わってるはず。
「美葉、暑くない?」
「……暑いけど、扇風機かけてるし、風邪をひいちゃわないように、このままでいいよ」
まぁ、暑いのくらい我慢できるし。
「ふふっ、美葉も暑いのを我慢するほど私とくっついていたいのね」
「ち、違うから! 私はただ、扇風機をかけてて、こうしてないと風邪を引いちゃうから言ってるだけだし!」
扇風機をかけてなかったら、普通に暑いから、嫌……だし。
「だったら、扇風機を止めればいいじゃない」
「そ、それは、もう布団に入っちゃったし、今更じゃん!」
「ふふっ、そうね。……美葉、私も愛してるわ」
「きゅ、急に何言ってるの!?」
お姉ちゃんはそう言いながら、私を抱きしめてる力を私が痛くない程度に少しだけ強くして、また頭を撫でてきた。
い、意味わかんないし! 私もって何! 私もって! 私は何も言ってないし、私は、お姉ちゃんのことを別に愛してるわけではないし。……好きではあるけどさ。
「い、いきなり変なこと言わないでよ! も、もう私は寝るから!」
「ええ、おやすみ、美葉」
私はお姉ちゃんに撫でられながら、いつの間にか眠っていた。
私は暑くて、お姉ちゃんの胸の中で目を覚ました。
……扇風機が切れてる。
そんな状態でお姉ちゃんとくっついて寝た私は、汗だくだった。
……今日は学校だし、お風呂に入らないと。
「美葉、おはよう」
「……ん、お姉ちゃん……おはよう」
お姉ちゃんがそう言ってきて、気がついたけど、お姉ちゃんも私と同じで、汗をいっぱいかいていた。
「……お姉ちゃん、お風呂、入らないと」
……私の汗がお姉ちゃんにベタベタしてるのなんて、気持ち悪いと思うから、寝起きであまり回ってない頭でなんとかそう言って、お姉ちゃんから離れようとした。
すると、お姉ちゃんは私を離さないとばかりに、抱きしめる力を強くした。
「美葉の汗なら、気持ち悪いなんて思わないから、私が連れて行ってあげるわ」
お姉ちゃんはそう言って、有無を言わさずに私をベッドから優しく起こして、お姫様抱っこをした。
「ちょ、じ、自分で起きられるから!」
状況を理解した私は、寝起きの頭をフル回転させて、なんとかそういった。
「大丈夫よ。美葉は私に体を任せてればいいわ」
そしてお姉ちゃんは、私をお姫様抱っこしたままお風呂場に向かった。
「ま、待って! ふ、服くらいは自分で脱げるから! だ、だから脱がそうとしないで!」
私はさっきまでの眠気なんか吹き飛んでいて、顔を真っ赤にしながら、必死にそう言った。
そして、私の必死さが伝わったのか、お姉ちゃんは私の服を脱がそうとするのを辞めてくれた。
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