第11話【イラストあり】予想外の第三者
『今日の放課後、時間を空けておいて欲しい』
週明けの月曜日、先輩からそんなメッセージが届いた。
『待ち合わせ場所、変えてもいいですか?』
土曜日のことがあったから慎重になっていた。
『いいけど……なんかあった?』
『大したことでは無いんですけど』
『そっか、なら場所は川沿いの公園でいいかな?』
学校のそばを流れる川に沿ってちょっと下流に歩いたところに公園があった。
『わかりました』
一体何のためなのかと疑問に思ったが、金曜日の放課後のことを思い出して、俺のせいかもしれないことに気づいた。
会ったら謝ることにしようと決めた放課後、言われた通りに公園に向かうと既に先輩がいた。
「お待たせしちゃってすみません」
「今来たところだから大丈夫よ、ってこのやり取りデートみたい……ね」
先輩は頬を赤く染めた。
俺もそんな先輩と二人きりでどうしていいか分からず、雑に話題を切り出した。
「今日はお金持ってきてないんだけど、大丈夫ですか?」
「私って、会う度お金を取るような人間に見えてるのかな?」
「そんなわけないですよ、一応確認です」
一回五万円って考えたら月イチが限度だ。
「今日はさ、謝りたいって思ってね……」
先輩は頬を掻きながら、そっぽを見て言った。
「あ……こっちこそすみませんでした……」
先輩がどんな気持ちで、俺にああ言ったのかを考えもせず、俺は一方的に自分の意見を押し通した。
「奏くんが謝ることは無いよ……私が奏くんの気持ちを汲めなかっただけだから。金曜日はごめんなさい」
先輩は頭を下げた。
「よしよし、そっからそっから」
ん?誰の声だ?
一瞬知らない人の声が聞こえた気がした。
「今、人の声聞こえませんでした?」
「ん?なんの事かな?分からないや」
公園の大木の木陰に一瞬人影が見えた気がした。
「彩莉〜、そっから押して押して押しまくれ〜」
もうこれ絶対聞き間違いなんかじゃないだろ、今絶対先輩の名前呼んでたし……。
「やっぱり誰かいますね」
木陰の方へと歩き出すと、先輩がため息をついた。
「はぁ……もうなんでついて来ちゃったの?」
その言葉に反応するように木陰から人が現れた。
「だって、心配だったんだもん」
そう言って出てきたのは―――――えっ、生徒会長!?
「こんにちは、奏くん。話は彩莉から聞いてるよ〜。彩莉のことを気にかけてくれてるんだって?」
「それは……はい」
どうやら生徒会長は先輩との関係を知っているらしかった。
「でもさ、一つはっきりさせて置きたいんだ。彩莉に対しての君の気遣いは恋愛感情から来るものなのかな?それとも、ただのお人好しなのかな?」
生徒会長は、まるで射抜くような鋭い視線を向けて来たのだった―――――。
†お知らせ†
生徒会長のイラスト掲載しておきます。
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