7
…結局、一睡もできなかった…。
翌朝、フラフラと校門をくぐる。私と奴らの関係を一晩中考えていたら、いつのまにか小鳥が囀って辺りは明るくなっていた。
夜更かしは美容の天敵なのに。あいつら、今度会ったらただじゃおかん。
一方的な逆恨みでキリキリしながら下駄箱の扉を引く。それと同時にドサドサとどうやって詰めたの?という量の手紙が足下に落ちた。
毎日ご苦労なことで…ハイハイ…。
いつもはポイ捨ては良くないから拾ってダストシュートするところだけど、寝不足でそんな気力も沸かずによろよろと拾い集めてカバンに詰める。ようやくゴミ拾いを終えて上履きを取ろうと下駄箱を覗き込むと、封筒にも入っていない便箋が生き残ってこっちを向いていた。
“放課後、4階の空き教室で待っています。”
空き教室…?ああ、あそこね。
ぼんやり思い浮かべて、なんの気無しにその便箋はポケットに入れる。体は眠いと言ってるけど、頭の中はいまだ悶々としていて、授業中のほとんどをぼんやりと過ごした。
そしてあっという間に放課後。休み時間はH2Oを探してみたけど、奴らはどこにもいなかった。いつもの旧校舎にさえも。
奴ら、どこいった。今日こそこのモヤモヤを晴らさないと、また眠れない。このままだとゾンビになってしまう。
だるさで重たい足を必死に動かして、校舎中を探し回る。最後に辿り着いた4階の空き教室のドアを、私は勢いよく開けた。
「姫ちゃん!…来てくれたんだね!」
「…。誰?」
嬉しそうに笑うヒョロい男に、訝しげな顔をする。睡眠不足でつい猫を被れなかった。
「ひどいなぁ、僕だよ。この間も呼びだしたでしょ?」
…ああ、この間の植木鉢落とされた時にいたモヤシか。ジャガイモ以外の野菜だったから、なんとなく思い出した。
ニコニコと笑うモヤシにはどこか余裕を感じる。この間はもっとおどおどしていたのに。
見れば、周りには小太りだったり眼鏡に七三だったり、“いかにも”なジャガイモが他に3人立っている。
なるほど。モヤシ、さてはイキってるな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます