20
とはいえこの状況でこの人数相手にするのは無理。
いやね、ホント肩痛いんですよ。さっきからじんじんじんじんと。
「ちょっと!聞いてんの!?」
ぼけーっと罵詈雑言を聞き流していると、血管が今にも切れそうなくらい真っ赤な顔をしてヒステリックに叫ぶ女。
ごめん。でもさ、長年同じような台詞を聞いているせいで、そーゆー暴言はすでにお腹いっぱいなんだよね。どこにいってもやっぱり女って同じようなのばっかなんだな。再確認。
(ホント、吐き気がする。)
怒り狂う彼女を冷やかな目で見据える。「何その目、馬鹿にしてんの!?」という金切り声が聞こえたと思ったら瞬間、目の前の女が空に向かって思い切り手を振り上げた。
――これは、まずい。
本能的に、悟ってしまった。
ぶおん、と風を切る音がしそうな勢いで振り下ろされる手。叩かれるであろう頬を庇う手が、思うように動かない。
絶 対 絶 命 。
あ、でもあれか?ここは少女漫画のセオリーに従って、ヒーローがナイスすぎるタイミングで助けに来るってやつ。そうだそれに違いない。
でも私思うんだよね。あんな一番盛り上がるタイミングで助けに来れるのって、どっかで見てるからじゃないの?ってさ。かっこいい自分を演出するために好きな子ギリギリまで危険にさらす奴のどこがいいんだか。
なんて数秒とかからず思考してるうちにも、その手は隕石の如く急降下。
私は思わずギュッと目を瞑る。
清々しいくらいの乾いた音が響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます