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ソファの後ろで背もたれに肘をつきながらゲームにいそしむ金髪がふと顔をあげると口を開く。


「そーやって反省してろブス!」


――くたばれ金髪。…じゃなくて、広瀬 真( ひろせ まこと )


猫目で八重歯のある猫顔。幼顔。

日が当たるとキラキラと輝く金髪は、可愛いをつくりたいのかしらんけど左耳の上を真っ赤なピンで留めている。

170ギリあるかな、くらいの低身長。ついでに程度も低い。

馬鹿の一つ覚えのようにブスを連呼する。あ、馬鹿なのね、そうなのね。


「涼ちゃーん、たぶんこれクリーニング出さないとおちないよ~。

いちおー頑張って洗ってはみたんだけど~。」


今にもキレようか、と言う時に気の抜けるような声とともに湿ったズボンを片手に、部屋に入ってくるなり不機嫌“涼ちゃん”に臆することなく隣に座るは茶髪。


――もとい、榛名 聖( はるな ひじり )


喋り方と髪は連動してんのか、と言いたくなるゆるーいウェーブがかったキャラメルブラウンの髪。

下まつ毛多めの垂れ目はフェロモンをむんむん醸し出すらしい。

常にへらへら笑顔。胡散臭いほどへらへら。それでもって語尾を伸ばすしゃきっとしない口調。


…なぜ誰もイラッとしないのか謎。



こんなんがここら一体の女共のアイドル、ね…。

世も末だわ、なんて一同に集結した男達をまじまじと眺める。


噂によると美形集団である彼ら――





通称H2Oを。

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