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――で、どうしてこんなことになっているんだろう。
使われていない旧校舎、2階の最奥、使用用途のないはずの空き教室の真ん中で正座させられている。
あぁ、そうそう。
汚した制服洗うよっつって、いいって言うのもついてくんなっていうのも聞かずについてきたんだっけ。
目の前には上は白い学ラン、下は学校指定の深緑のジャージという奇抜な格好のくせに偉そうにソファにどっかりと座って足なんか組んじゃってる黒髪。
そんな奇妙なファッションで偉そうにしてもウケ狙いにしか見えませんから!
なんて一人ツッコミに思わず噴き出しそうになるけれど申し訳なさげに俯くフリして堪えた。
そーっと視線をあげると黒髪から覗く鋭い眼差しとうっかり対峙して、慌ててまた俯く。
――黒髪…もとい、近江 涼介( おうみ りょうすけ )
一言で言えば端正な顔立ち。
切れ長の目は力強くて睨まれると正直怖い。半端なく怖い。すっと通る鼻筋にアンダーバーかってつっこみたくなるくらいぴくりとも動かない薄い唇。
私の第一印象である漆黒の髪は長すぎず短すぎず艶っぽい。
中身は絶対血の通わないロボットかなんかに違いない。
声を聞いたことがある人は数えるほどしかいないらしい。私はさっき聞いちゃったけど。声より言葉が衝撃過ぎてあんまり覚えてないけど。
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