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なんとかブツンといくのを押し込めるも笑顔がヒクついてるのが自分でもわかった。

3メートル離れたところで女たちがひそひそと嘲笑う声が聞こえる。


くそう、どうして私が笑われる側にならなくちゃならないのよ。


一番奥にいるキャラメルブラウン、略して茶髪は「女の子にそんなこと言っちゃだめでしょ~」なんて、ほんとに思ってんのかわかんないゆるーい言い方でへらへらとしててなんだか余計に腹立たしいし。


やっぱり奴らを保留にしといた私の勘はあながち間違いではなかったらしい。


こいつら、女に負けないくらい嫌いだ。


ふつふつと湧いてくる怒りを堪えるように強く両手を握り締める。まだ半分以上は残っているカフェ・ラテの紙コップを持っていることも忘れて。


あまりに強く握ったために案の定潰れた紙コップから飛び出す濁った茶色の液体。


半分は床に落ちて、もう半分は


あっ


と思った時にはすでに遅し、白い布地にじわじわ広がる茶色の染み。


しかも狙ったかのように股間直撃。



――手前にいた黒髪のである。

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