魔力ゼロでも問題ない。忍術があるからね。
忍者になりたかった男は現代社会で努力を重ねるが、訓練の甲斐なく忍術をマスターできなかった。やがて、死を迎えた彼の魂は異世界に転生し、伯爵家の長男コウ・アリガとして生まれ変わる。
魔力の強さが絶対とされる貴族社会において、彼は『魔力ゼロの出来損ない』だったが、代わりに忍術を使うことができた。
俺は忍者になりたかったんだ! 魔法なんていらないね!
己の願いが叶ったことに喜んだコウは忍術を次第に極めていく。しかし、同時にこの世界の歪みにも気づいていた。魔力を持たない人間が軽んじられ、潰されていく事実に。
コウは人々を助けるために刃を振るう。そして、助けられた人々もまた、彼に願う。私に忍術を教えてください! と。やがて、最強の忍者たちを従えたコウは歪んだ王国を影からねじ伏せていく。