SA 26. 具申いたします。
「なんて返信きたの?」
一気にサラの顔が愉悦に満ちた。アンジェラも瞬時に目をきらめせ興味津々と隠しもしないが、いかんせん、ダンを直視することができず、サラからレモネードを掠め取り、意味もなく天井を見上げる。
「……特に面白いものじゃない」
余程不愉快な返信を頂戴したのだろう。眉間のしわがとても深い。不快ここに極まれりのロード並みに深い。
「えー、そんなはずないって! だって女の人と映った写真だよ? 絶対面白い反応してくるって! ねえ、アンジェラ」
「そこで私に振る!?」
アンジェラは「あー」だのと呻き、目を泳がせる。発言していいのか、いいとしてどこまでなら許されるのか、切り込んでいいのだろうかと、悩んでいるのが手に取るように分かる。その挙動不審にダンも胡乱な眼差しを送る。
彼女がサラに何度も助けてほしいと目で訴えるが、サラは助け舟を出す気など毛頭ない。なんらならダンに突撃しろと顎をしゃっくって差し示す。
「えーっと……、あのー……、浮気を疑われてるなら、弁明したほうがー、いいと思います、というかー……」
アンジェラは明後日を向いてぎこちなく口にする。
サラは口を手で抑え、サンドイッチが噴き出さないように努め、ダンを横目に見遣る。
案の定、彼はきょとんとした。
「浮気って……、俺が?」
「ええ、サラが、そちらの
「言ってないし! 言い出しっぺはアンジェラ!」
付け火をした本人に飛び火した。
ダンが眉間にしわを寄せる。「彼女」と音もなく唇が動く。
「修羅場になる前にー、仕事の一環だとー、お伝えするのが得策かとー、具申いたしますー……」
アンジェラの発言は、的を射ているような、外れているようなものであったが、困惑しているダンを見るに効果は上々かもしれない。サラはサンドイッチを何とか飲み込み、アンジェラからレモネードを奪い返す。
ダンは首をひねった。
「何を言っているのか分からないが、俺がアイツと付き合うわけないだろ」
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