第480話 縁談話
本人にそんな気が無くとも18歳で婚約者さえ居ないのは貴族として出遅れて居ると言うのが世間の風潮らしい。
現代日本の常識とは異なる風潮に若干ウンザリする俺だが、郷に入っては郷に従えでしょうがない。
そんな俺の心の中を見透かした様にエルミラー嬢との縁談を断った途端に一斉に縁談話が舞い込んで来る事にやや恐怖を感じる俺であった。
エルミラー嬢も綺麗な子であれで愛想があって多少なりとも話してくれる子であればまだ違ったんだけどなと、今更ながらに申し訳ない気持ちになる俺。
日本だと写真館でキチンと撮ったお見合い写真を開いてに送り付けて第一段階の選別を行うようだがまだこの世界では俺が魔動カメラを発売して無いのでそんな写真などは存在せず、専ら肖像画がおくられて来たりするわけだが、これが非常に嵩張ってしまってどうしようも無いのである。
どうしようかと悩むよりもお見合いパーティーを開いて開いての居ない男女を一気に集めてしまえば良いんじゃないかと思い着いた俺はそれを実行に移したのだった。
期間限定で毎週金曜の午後から『出会いのパーティー』なる物を開く事として我が家の王都邸にて大々的に行う事としたのであった。
司会進行は我が家の執事である、ランカスターに一任して俺も一応パーティーに参加をする。
結局俺のパートナーは一向に決まらなかったが、このパーティーを経て婚姻に至ったカップルは非常に多く期間限定の1年の間におおくのカップルを成立させて、長い間王国の社交界で語り草となった。
最終的に俺だけはボッチのままで1年が過ぎて気が付けば俺は19歳になっていたのだった。
この1年間『出会いのパーティー』だsけをやっていた訳では無くて、魔動カメラの量産化に成功し、王宮からの注文分を販売したりして通常業務も熟していたのだった。
更に、コツコツとした箸文化の普及が功を奏して漸く庶民レベルまでに普及して来たので、ラーメンを巷に流行らせたりと、食文化の発展に貢献して来た。
今ではニューオオサワ・シティー傍の大規模醸造所で大量製産に成功した醤油と味噌は貴族だけでなく庶民にも普及した調味料として扱われて居る。
万事上手く物事は廻って居るのに、結婚だけが上手く行かない・・・それは俺自身の問題であるといえるのであろう。そう、まだ嘗ての妻であるマーガレットやアリーシアの事が忘れられないのだ。
そして、あまりにもパートナーの決まらない俺の事を心配した宰相閣下から、半ば強引に、宰相閣下の所の三女である17歳のケリー嬢との縁談を強引に持って来られたのであった。
宰相閣下の威光で茶会が開かれ、はつたいめするケリー嬢
「初めまして、私、ケリー・フォン・マクレガーと申します。オオサワ様のご高名はかねがね聞き及んでおります。」と綺麗にカーテシーをする。金髪で青い瞳が綺麗なケリー嬢。
鑑定して見ると、
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【ケリー・フォン・マクレガー】:マクレガー公爵家三女。
才女である行動力の在る女性。非常に情に深い。
今回憧れのマルクとのお茶会と言う事で大喜びで昨夜はなかなか眠れなかった模様。
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と出てた。どうやら元より俺に好感を持ってくれて居たらしい。
「初めまして本日はお時間頂き恐縮です。高名などと烏滸がましい・・・少なくとも悪い噂でなければよろしいのですが・・・。」と無難に挨拶を返す俺。
ケリー嬢は非常に良く喋る女性で終始彼女のペースで会話が進みアッと言う間に1時間の茶会が終了したのであった。
しかも茶灯り電話番号の交換をし、キッチリ次回の約束まで『させられて』この日は別れたのであった。
ハッキリ言って特にグイグイ来る訳でも無く話もしてくれるが聞き上手でもあって、一緒に居て苦痛では無い相手であった。
こうして2ヵ月もした頃には何か知らない内に婚約と言う事にまで話が発展しており、気付くと俺はケリー嬢と婚約していたのであった。
と言うと聞こえは悪いがアッと言う間に流されたのは事実だが、話上手なケリー嬢の事を決して嫌でも悪い気もしていない。俺なりにケリー嬢の事を好ましく思っては居るのである。
これで結婚したらどうなるのかは不明だが平穏な結婚生活を送れる事を切に願うのであった・・・。
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