第476話 王宮からの招集
何やら、忘れた頃に王宮から招集が掛かったのだが、このパターンには身に覚えがある。もしかして今回もまた同じなあれかも知れない。とおもいつつ如何に回避するかを考えつつ王宮へと向かうのであった。
俺にはまだまだやらねばならぬ事が多くある。その1つとして、丁度出来上がったばかりの魔動電話を持って来て居るのでこれの量産化を理由にするのも良いかも知れない。
何れにしても王宮だけでなく王国軍も欲する物だけに多くの需要を見込めるので、内心ウハウハが止まらない俺であった。
王宮に着いた俺はそのまま謁見の間に通されて、国王陛下と宰相閣下が出て来た謁見の間で片膝を着いて頭を垂れたのであった。
「マルク・フォン・ドルビーよ、此度の働き、誠にあっぱれであった。」と切り出す個々王陛下。
「はっ、ありがたき幸せ。」と決まった定型の受け答えを返すもののこの先どうなるかハラハラする俺。
「して考えた結果じゃが、此度の功績を讃え、其方に子爵位を授ける事とした。」と宣う国王陛下。
ガン爵位ではなくイキナリ子爵位とするあたり、かなり思い切った大盤振る舞いである。
これを断るのは有る意味自殺行為に近いと感じ脳内でシミュレートとして居たお断りのやり取りを断念してしまう意気地無しな俺。
其処でプランをやや変更して、
「はっ!ありがたき幸せ! しかしながら、私の様な若輩者にこの様なこの身に余る幸せにぞんじます。」と無難な答えを返してしまった俺。
「よいよい、其方聞く所によると、多才なようじゃからな。今後の事も在る故に子爵位としたのじゃ。」と補足する国王陛下。
これを聞いて単にお断りせずに本当に良かったと冷や汗を背中に掻く俺であった。
「では国王陛下、この場をお借りして少々お店をしたい新商品がございまして。お出しして宜しいでしょうか?」とお窺いを立てる俺。
「ふむ、新商品とな!それは是非とも拝見したいのぅ~」と早く見せる様にせがむ国王陛下。
「はっ、こちらの『魔動電話』にございます・・・。」と言って商品説明を続ける俺。
俺の説明に前のめりになる国王陛下と宰相閣下。
「陛下、これは素晴らしい物ではありませぬか!?これさえあれば、タイムラグ無く最前線の情報も得られます。」と大乗り気の宰相閣下。
そして使い方を教えて音声通話を試して貰うと、大喜びして、テスト通話を楽しんでいたのであった。
このタイミングで
「子爵位を頂いたばかりで誠に申し訳ないのですが、この魔動電話の量産体制を整えないといけないので貴族としての務めは疎かになる事を御了承下さい。」と俺が申し訳無さそうに告げると、
「うむ、良い良いそれは判って居る。些細な貴族の勤めなどよりも、これの量産体制を整えて貰う事の方が国益になる。」と了承してくれたのであった。
こうして俺は子爵位を叙爵して王都の屋敷に戻ったのであった。
帰ってから子供達に子爵位を貰った事を告げると、俺以上に大喜びしてくれたのであった。
翌日には子爵叙爵祝いのパーティーを内々に開いてみんなで大はしゃぎするのであった。
1週間ぶりに学校のホームルームに訪れると、いち早く俺が子爵になった事を知っていたクラスメートから口々にお祝いを言われるのだった。
照れつつもお礼を言っておいたのであった。
そして子爵位になった件が落ち着いた頃、問題の錬金術部隊の熟練度を上げる為に特訓を行って、少しずつではあるが、成長してくれるのであった。
子爵になって3ヵ月が経った頃になると、少しずつであるが、錬金部隊も分業制で魔動電話を製産出来る様になってくれたのであった。
とは家言え、前世の工房の生産効率には全く及ばないのでまだまだであるが、最初の頃に比べると多少は進化しているので、温かい目でみつつ、指導に明け暮れる日々を送るのであった。
子爵になって7ヵ月が過ぎた頃、漸く量産体制が整って1ヵ月で2000台位は製産出来る様になったのであった。
こうして、出来上がった魔動電話はまずは全て王宮がお買い上げとなって多大な収益を上げるのであった。
この後も各地の孤児院に声を掛けてオオサワ商会に就職してくれる子を募集し続けるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます