第374話 マリーのお受験

マーコスの邸宅に帰った後、マリーが自発的に告白したところによると、マリーのレベルは2だったらしい。

0から始まった俺と比べると羨ましい限りである。



折角中断したダンジョンアタックの機会なので出せる物をダンワースの冒険者ギルドに提出してしまう事にした。


まあ別に入れっぱなしでも重くはないのだけど、何がは要って要るのか忘れしまうからね。


チョイチョイ小まめに死蔵品を出したり確認しとかないとね。


そうして冒険者ギルドに赴いていたらいつの間にか俺がここの領主と言う事がバレて居た。


恐らく情報の出所は先日の開花の儀に一家総出で教会に馬車で行った当たりだろうか?


子を持つ冒険者が他に伝えて公然の秘密となってしまったと思われる。


別に変に隠して印籠ゴッコをやりたい訳じゃ無いけど、冒険者ギルド内で微妙な空気になるのは勘弁して欲しい。


尤も冒険者ギルドの職員は今まで通りの対応なので助かっているのだがな。


マリーは開花の儀も終わったのでそろそろ王立学園の試験を受けて入学しなければならない。


その為の試験勉強はほぼ終わって居る筈だけど、貴族のマナーが全く駄目なので暫くは徹底的に家庭教師に教えて貰う事になっている。


その間残念だが、マリーのダンジョンアタックはお休みとなる。


マリーが王立学園に入って俺の様に友達を得られるのかが我が子の事の様に非常に心配である。



マリー自身のコミュ力は問題無いと思うけど、騎士爵の令嬢となると、身分カーストの下の方なのが心配なのだ。


マーガレットに相談すると、多少顔を曇らせるのでやはりそれなりに同じ理由で心配して居る様子である。


「最悪家の養子としてしまえば良いのですわ。」と結婚して以降若干口調の変わったマーガレットが事も無げに言う。


でもそうすると、非常にややこしい事になるので一番は何かでパパンを男爵にする事である。


ただそれには一応のお題目も必要だし、だんしゃくになれば今の様に同居も出来ずに別個に居を構えて貰わないと行けなくなる。



今は、領内の騎士団と衛兵の総指揮官を兼務して貰っているが、そのお陰で治安も良くなり、兵力も上がっている。


今では騎士団は35名、衛兵は、ダンワース30名マーコス70名合計で100名となる。これに体長が10名追加となるので大所帯である。



これが全てパパンの指揮下で扱かれて成果を上げて居るのだ。


お陰で領民からの評判も良く様無いの適当な屋敷で男爵化して貰っても対外的なお題目は問題は無いと思われる。


公爵となったので、男爵までは任命権があり、自由裁量でイケるのである。


なので、マーガレットと相談して、治安向上の手柄として無理矢理男爵に捻じ込む事にしたのであった。



思った以上に簡単に手続きが終わってパパンはオザワ家として独立したのであった。

これで多少は身分カーストによる差別やいわれの無い虐めを受ける事は無いだろうとホッと一安心するのであった。



尤も別居と言っても固定式ゲートで結んでいるので、新居に表向きだけ引っ越した様な物だ。折角懐いてくれたタージと離れるのは悲しいからね。


こうしてまりーの受験に向田準備と並行して様々な事を薦めるのであった。




最近になって、マーガレットの体調が優れない日が有ったりしたのでもしや?と思って居たら、まさかのご懐妊であった。


これでマーガレットも当分(1年程)は大人しくしておかないと行けない事となったのだった。


「マーガレット、やったな!!ありがとう!!」と素直に喜びを露わにして告げると、恥じらってギュッと抱きついて来るのであった。


まさか、こんなに早く子供が出来るとは思って無かったので、ちょっと驚いてしまったのだった。



俺は早速陛下に連絡を入れて、マーガレットの妊娠を告げたのであった。



「でかしたのじゃ!!」と大声で一声目に褒められた俺は驚きつつもマーガレットに電話を替わるのであった。


マーガレットは恥ずかし気に対応していたがやがて電話を切って、ふぅ~と息を付いていたのだった。


俺はマーガレットのお腹に向かって

「おーい、元気に生まれて来いよー!」と大きめの声で話掛けるのであった。


パパンとママンにも報告して、「初孫だと」大喜びされたのであった。



こうして、チームオオサワ?のダンジョンアタックは暫し延期?となってしまい、コッソリ俺単体で行く感じになったのだった。




マリーの試験勉強とマナーの特訓は、勉強の方は軽くお復習いする程度で良いのに比べてマナーの方に問題が在ってかなり厳重な手直しが入って苦戦して居る様子であった。


もうちょっと早めにマナー講習をうけさせておけば良かったと今更ながらにマリーに心の中で謝るのであった。





アッと言う間の2ヶ月が過ぎて、いよいよ受験当日である。


「マリー気楽に行ってこい!」と心とは裏腹の軽口を叩いてマリーを王都邸から送り出す。


「はい、頑張ってきます。」と少々緊張気味のマリー。

「まああれが。筆記試験が少々悪くてもお前の場合、魔法と剣術の実技で一発医逆転あるから、安心して良いぞ!」と言ってやると、自分の持つアドバンテージを思い出したのか、ギュッと両拳を握り締めて、

王都邸を後にしたのであった。



■■■



マリーは緊張した面持ちで校門を潜り受付を済ませて受験会場の教室へと行って、算数から始まる試験を順調に熟して行く。


2教科目の王国の一般常識の試験の周辺の地理問題に少し迷ったものの、意外と出来たのでは無いかとホッといきを付いたのであった。




筆記試験の後は、実技の試験である。

会場の体育館へと歩を進め魔法の実技試験から受けて剣術と両方を受ける気でいたのだった。



的を用意されてる魔法の実技試験エリアでは恥ずかしい詠唱が聞こえて来る。


「何あの恥ずかしい台詞?詠唱??普通に撃てば良いのに・・・。」と心の中で呟きつつ、自分の番を待って居た。


漸くマリーの番となって、ここで兄の言っていた、「魔弾では無く、目に見える属性を使った方が良い。」とのアドバイスを思い出して、


「マリー・フォン・オザワ行きます!」と宣言した後、青白いテニスボール大のファイヤーボールを的の数の分5個同時並行して出現させて一気に全弾を的に命中させたのだった。


ドバババババーーンと言う連発で当たって弾ける爆音が鳴り響き的が5本共に無くなったのであった。


シーンと静まり返る試験会場はその一瞬後にワーーキャーと騒然となるのであった。


マリーの番は終わり、駄目押しの剣術のエリアに行って順番を待って居たが、みんなスローモーションで動いて居るのか本気じゃ無いのか、試験官もお父さんやお兄さんよりも大きく腕が落ちているのに、みんな負けていて変な試験だと思ったのであった。


漸く順番が来て、

「寸止めにして、大怪我しないようにするので安心しなさい。さあ、全力で掛かって来なさい。」と対する試験官に言われた。


木剣を片手に「マリー・フォン・オザワ行きます!」と宣言し、身体強化を使って、トンと一歩踏み込んで相手の懐に入り込んで相手の木剣を弾き飛ばすと、それだけで、相手が姿勢を崩す。

そうした後、軽く首の高さまでジャンプして、木剣の腹をトンと肩に当ててやって、着地したのであった。


その間、3秒程の間である。


「参った。」と試験官が負けを宣言して、マリーの勝ちが決定したのであった。


これで、試験科目は全て終了である。

これなら少々筆記試験が拙くとも何とか合格出来るだろう・・・と遣り切った感じにホッとするマリーであった。

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