第373話 ダンワース・ダンジョン その4

次のだ17階層は廃屋エリアのの続くフィールドで、寂れてしまった廃墟の様な建物が多くあるやや夕暮れ時の様な明るさの微妙な階層であった。


この階層のメインの魔物の情報は無いけど、今出会った魔物だとするとどうやらオーガの様である。



ガォーと雄叫びを上げて剣を抜いて俺達目掛け突進して来る様はなかなかに迫力が在る。


俺は、剣に魔力を纏わせて補強して迫る来るオーガの太刀をスルリと受け流してみせる。


そして、魔弾を至近距離から、眉間に撃って貫通こそしないものの、脳震盪を起こさせて姿勢を崩した所を飛び上がって首をスパンとちょん切ったのだった。


何時もの様に1匹目は俺が美見本を見せて倒してやると、それに倣って2人も後に続く。


俺の目から見ても危なげの無い戦いっぷりで、この階層でも十分にやっていけそうである。


この階層のマップも何もないので俺の魔力の流れを読む力頼みで下層への階段の位置を探りながら、大して視界の良くない微妙な明るさの廃墟を歩いて居ると突然オーガが出て来るのでいくら気配察知を使っていても少々ビックリしてしまう。


そうそう、このダンジョンアタックのお陰で2人にも気配察知が使える様になった。


正に『習うより慣れろ』である。これまでに数々の不意打ちに遭ったお陰である。


そんな訳で徐々に増えて来るオーガの来襲を熟しながら、ドンドン先へ進むのであった。


この階層のオーガに魔弾のヘッドショットが効くのは予想外であったが当たる角度が悪いと逸れて仕舞う感じなのでギリギリと言った感じなのかも知れない。


オーガの場合、その頑丈な外皮に需要があるので、これだけ狩れば相当な金額となるだろう。


丁度良い時間となったので、ダンワースの冒険者ギルドのボルトさんの所に寄って、今日の成果とヒュージ・フロッグの胃袋の取り出しをお願いして帰るとしよう。



持って行ったダンワースだけではヒュージ・フロッグの解体を全部行えないとお断りされてしまい、久々にガガの冒険者ギルドに持ち込んでガラコさんにお願いしたのであった。



俺の顔を見ると嬉しそうに

「久し振りじゃないか、いつの間にかパーティー組んだのか?」とマーガレットとマリーを見て聞いて来るガラコさん。


「どうも、久し振りです。そうなんですよ。俺結婚したので。奥さんのマーガレットです。此方は、妹のマリー」と言うと大変驚いていたのだった。


「また何時ものヒュージ・フロッグの解体お願いします。」と言って、タップリヒュージ・フロッグが入ったマジックバッグを取り出すと、此方のギルドではちゃんと受けてくれたのであった。


お願いも終わって生活の拠点である王都邸へと帰ると、パパンから、ソロソロ「マリーの開花の儀だから。連日連れ歩くのはそろそろ控える様に」と言われて暫くダンジョンアタックは中止する事にしたのであった。


ついつい鍛え上げた戦力の所為で忘れがちだがマリーはまだ『開花の儀』の前の9歳の女の子なのである。


それもあと数日で終わるのだがな・・・。



「お父さん、マリーの開花の儀は何処でやる?おここ、王都か、俺の時と同じガガでやるか、俺の領地となったマーコスでやるか?」と問うてみると、


「そうだな、マリーが友達を作ると言う意味ではマーコスで落ち着いてやるべきなんだろうな。」と考え込むパパン。


「やっぱりトージの時の事もあるし、早めに本拠地をマーコスに移動しようか? まあどっちで固定ゲートで繋いで居るので同じなんだけどね。」と提案してみるのであった。



現状は寝起き食事は王都邸で行い、庶務等の領主の仕事はマーコスで行って居るのである。勿論、マーコスとダンワースの領主館も固定式ゲートで結んであるので、通常の廊下を通行する様に行き来しているのである。


つまり、何処で寝起きするかの小さい違いでしか無いのだ。


もう一つ問題も在ってはダンワースの屋敷は微妙な前伯爵のセンスもあって済み辛いと言うのもある。ここ王都邸にはスタッフ達の宿舎もあって、毎日ここ王都邸の宿舎より各館のスタッフが出勤しているち言う理由もあったりするのだ。



流石に済み辛い程度で現在在る屋敷を取り壊して建築し直すのもあり得ないので、折角王都に貰った新しい公爵用の屋敷を振るに勝つ様した結果が今の現女王となって居る。


そんな訳で、マリーの開花の儀はマーコスの方で行う事になったのであった。




■■■


1週間が過ぎて晴れてマリーの誕生月となり、10歳になったマリーを連れて、マーコスの教会へと訪れると、教会は10歳位の小さい子で溢れかえって居たのだった。

泣く者在り、喧嘩をし始める子在りのカオスの様相を呈しており、普段大人びて聞き分けの良いマリーばかり見て居た俺とマーガレットには軽く衝撃だった。



順番を待つ事約1時間、漸くマリーの番となって、ナンシー様の像の持つ水晶玉に触れて、特に強烈に光る事なく無事に開花の儀が終了したのであった。


マリーの微笑む様子から、良い結果が得られたのだろう・・・。


まあ俺は鑑定EXがあるので見ようと思えば見る事が出来るのだが、幾ら家族とは言え、人様のステータスを勝手に見るのには些か抵抗があるので今までそう言う事には活用してこなかったのである。



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