第361話 褒賞式 その1

一応全てが片付き2週間位過ぎた頃、王宮から今回の武勲の褒賞式に呼ばれていた。


毎度の事で正式なドレスコード指定の召喚状にやや面倒な予感もしているが、こればかりはシカトキメる訳にもいかず、渋々出席する事になる。


どうやら、俺は成長期に入ったらしく、久しく着て無かった、正式な礼服がやや苦しい。


急遽の手直しと新規の礼服やその他の服の発注を済ませて王宮へとゲートで出かけたのであった。


暫くすると数少ないが貴族の並ぶ謁見の間に案内されて、今回の戦とも呼べない様な戦の武勲報償式が国王陛下のお琴なから始まったのであった。


「今回のグーラマ王国との戦、全てのお膳立てをしてくれたトージ・フォン・オオサワ伯爵によってほぼ無血による完勝と相成った。オオサワ卿よ、大儀であった。よって、オオサワ卿が一番手柄となる。」とまっ殺気に俺の多忙な日々を労ってくれたのであった。


俺はどうして良いか判らずにその場でかた膝を付き、「勿体無いお言葉・・・。」と思っても居ない言葉を返したのだった。



「うむ。此度の褒賞に一番良いのは何じゃろうと悩んだのじゃが、卿を侯爵位を与え、余の娘であるマーガレットとの婚約を許可する事にした。これは、マーガレットも同意の上なのじゃ。

師匠との婚姻ならと嬉し気にして居った故な・・・。」と宣う国王陛下。


えーーー・・・・。


「も、勿体無いお言葉・・・。お恐れながら私の様なポッと出の貴族で宜しいのでしょうか?」と恐る恐る訪ねるも。


「よいよい。本人が望んで居る事じゃからのぉ~。」と娘の秘密を暴露する国王陛下。



流石にここで反対も否定も出来る空気でもなく・・・。


やっとの思いで「ありがたき幸せ・・・・。謹んでお受け致します。」と言うのが精一杯の俺だった。

パラパラとした疎らな拍手の後、2番手柄等一通りの褒賞の発表も終えて漸く報償式が終わった後、大きく長い溜息と共にドッと疲れが噴き出すのであった。




宰相閣下に呼ばれて別室に行くと、国王陛下と、マーガレット殿下が待って居り、


「トージよ・・・これからも宜しく頼むのじゃ。」と頬を染めるマーガレット殿下。

「こ、此方こそ宜しくお願い致します。」と返す俺。


この流れで本当に良いのだろうか?


こんな年端もいかぬ若い17歳位の女の子と婚約なんて、どう考えても通報案件である。


と言うか、そもそも俺はロリコンでは無いので確かに美少女で可愛いとは思うが、恋愛対象として見た事も無く、ちゃんと常に一歩退いて接して居たつもりであった。


なので、恐れながらと思いつつ、国王陛下に思い切って聞いてみた。


「国王陛下、本当にこんな私で宜しいのでしょうか?」と言うと、

「トージ卿よ、もしかして不服があるのか?余は卿になら可愛い我が娘を安心して預けられるし、永劫に守ってもくれると思っておるのじゃが?」と逆に質問の真意を聞いて来たのであった。



「いえ、不服だなんて、勿論ありません。無論未来永劫に守っていきます!」と思わず勢いで宣言してしまったのであった。


すると、「良かったのじゃ!!心配して居ったのじゃ。」と嬉しそうに喜ぶマーガレット殿下。確かにそう言う所は可愛いな。


まあ『円満』に止める事は出来そうにないので徐々に慣れる感じだろうか? 意識の摺り合わせと言うか、恋愛対象として見てみるしかないか・・・と心の中で思うのが精一杯の俺だった。


「しての、ここに呼んだのはこれで終わりじゃないなのじゃ。実際に余の娘と結婚の際には公爵位ではなく、公爵となって貰う。領地も与える故に手腕を期待しとるぞよ。」ともっと爵位を上げる宣言をする国王陛下。


要は王女が輿入れするした場合、王族に名を連ねる訳なので、必然的に公爵位になるらしい。


もう目まぐるしい爵位上げに脳が付いて来られない。

「トージよ、お主はこれ位でも足りぬ程の功績を挙げたのじゃぞ。誇りを持って堂々と受けよ!」と俺がアワアワして居るのが面白かったのか笑いながら言う国王陛下。


もう色々諦めて、なる様になると腹を括ったのであった。


折角俺が良いと言ってくれる美少女が現れたのである。真摯に接して守って行ける様にしなければならない・・・と心に思う俺だった。



その他の諸々から漸く解放されて、自宅に戻った俺は、パパンとママンに


「侯爵になって婚約者決まった・・・。」と告げると大層驚かれ、更にその相手がちょいちょい我が家にお邪魔しているこの国の第一王女と知って二度驚いていたのであった。


ただ、マリーだけは、「やっぱり、マーガレットお姉ちゃんになったね。」と予言通りと言いたげな風に満面の笑みで抱きついて来るのであった。





それからは、いままでも連日は控えていた風なマーガレット殿下の来訪が連日となり、一緒に居る時間が極端に増えた。


マリーは既に魔物狩りデビューしているが、マーガレット殿下も魔法の腕は頗る高くなってマリーと同程度となったので、ガガの東の森につれて行って魔物狩りをさせてみる事にした。


「と言う事で今日は実戦をやってレベル上げを行いましょう。」と俺が宣言すると、マリーもマーガレット殿下も大喜びであった。


ここ暫く俺はアグーラマ王国の事に掛かりっきりだったので殆ど構ってやれずに可哀想な事をしたのだ。


尤も、マリーは1人でガガに戻って近所の友達と遊んだりしていたらしいのだが・・・。


そんなわけで、マーガレット殿下の魔物狩りデビューである。


まずは俺の方で用意した女性冒険者風の身軽な服装に物に着替えて貰ってその上から、念の為に皮鎧の胸当てを付けて貰った。


マリーも自分の衣装と装備にみを包み久々のががの東の森にゲートで移動して、マリーとマーガレット殿下とで、サーチアンドキルを繰り返す。


尤もちゃんと狩った食える魔物は自分の『時空間庫』に入れて回収させている。


ゴブリンの時は、穴を掘って焼いて埋めるまでがセットである。


最近この2人は良く一緒に魔法の訓練をしていて、非常に仲が良い。


家内前にマリーに教えただけの無属性魔法の触手すらマーガレット殿下も物にしていたので、直接汚いゴブリンに触れる必要が無い様だ。



あまり一箇所で狩るのもガガの冒険者的にもんだいとなるので、1時間置きに場所と大き移動して午後4字までミッチリ魔物狩りをしたのであった。



そうそうもう直ぐマリーの開花の儀となるマリーがどんなステータスを授かっているのか非常に楽しみである。


こうして、戦の後の穏やかな日が過ぎて行くのであった。

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