第91話 ダンジョンアタック 新しい時代の幕開け
一晩明けて、気分もシャッキリしている。みんなで朝食を取って、今日は早めに帰る様にするからと約束をして、子供ら全員の頭を人撫でしてからダンジョンに出勤した。
ゲートから出ると昨日と同じ第40階層のボス部屋の石造りの扉が鎮座している。
もう何十年もいや、先達の前に誰もここまで来ていなければ、まだ誰も迎え入れてない扉かも知れない。
ダンジョンのボスに自我があるかはsラナイが、嘸かし退屈している事だろう。 待っててくれ、あともう少しでその退屈を終わらせてやるから。
さて、第40階層のボスは何が出てくるだろう?
この10階層分の締め括り的なボスだとすると、一番印象に残っているのはなんと言ってもあの最初のミノタウロスである。
他に比べ全く別物の強さを持っていた。もし仮にあれが複数匹出て来て連携を取られでもすると、如何に俺でもかなりヤバい。
まあ、そんな事は起こらないと思うけどな・・・。と内心思いつつ、ピシリと自分で自分の両頬を手で叩き気合いを入れて、ボス部屋の扉を開けた。
岩で作られた重厚な扉が、ズズズズズと言う地響きと共に横にスライドしてボス部屋の全容が見えてくる。
広い! 今までのボス部屋よりも大幅に広い。 直径で25mくらいだろうか?円形の部屋の真ん中に魔法陣があり、周囲の壁には火の点いていない松明が岩壁に付けられた松明用のホルダーに刺し込まれている。
うーん、このパターンは初めてだが、まさか俺が火を点けて回る訳じゃないよな? と思いつつ、突っ立っていても始まらないのでそのまま一歩部屋へあしを踏み入れた。
すると、壁に刺し込まれている松明が自動的にボッと火が点いて周囲を明るく照らし始めた。1つずつボッボッと点いて回って全部の松明がこの30m程の部屋を照らしてくらた。
上手く出来てるなぁ~と変な所に感心しつつ真ん中の魔法陣に注目してもう1歩中に進むと背後で扉がズゴゴゴドンと音を立てて閉まり、中央の魔法陣が何時もの様に青く・・・では無く赤く光り始めた・・・・。
「赤いのか?」と微妙な不安を感じて呟くと。魔法陣の上に赤い陰?が収束して行き、俺がボス部屋に入る前に『まあ無いな。』って高を括っていた、あのシルエットが見えて来た。
いや、更にデカい!今回お奴はどこかのロボット処刑人の登場の様に跪いているから判り難いが立つと5mはありそうだ。
しかも、此奴は棍棒でなく、鈍い光を放っている大剣を肩に担いでおり、胸には簡素な皮鎧まで身に付けている。
そう、ボスはあの異常種と同じミノタウロスである。
恐らくあの
俺は先手必勝とばかりにまずは様子見の為の一発を頭にぶち込んでやろうと思って魔弾では無く、強固に圧縮して重くなったストーン・ランスを高速に回転させて準備して、奴が立ち上がる前の低い位置にある頭に目がけて今までにない程の速度で撃ち出した。
バーーン♪と言う音速を超えた際に放つ衝撃波と共に強固に固められた円錐状に尖った石の槍が飛んで、行って見事に頭に当たると思った瞬間に信じられない事にその石の槍をヒョイと首を傾げて避けやがった。
音速で飛んで来る物を避けるのかよ!?と驚きながら、今度は避けられない範囲攻撃を仕掛ける。
アイス・ゾーンだ!寒さに弱いかは判らんが、動きが鈍くなればしめた物だ。
一気にミノタウロスのボスを中心としてピキピキと凍り付き息が白くなって行く。
追い打ちを掛ける用にウォーターボールで奴を水浸しにして更に凍らせるが、その氷をパキパキと砕きながら立ち上がり俺を見下ろし、ギョモー♪と言う割れんばかりの咆哮を放って来た。
そして今度は俺のターンだとばかりに肩に担いだ大剣を振りかぶってsの一瞬で奴の魔力が高まるのを感じ取って、横にサイドステップで躱すと俺の居た場所にその大剣から飛んだ懺悔期が床の岩に深い裂け目を作っていた。
あの攻撃はヤバイ。俺のマシマシの魔装でも貫通しそうだ。まずは各欄して反撃のターンを与えない方向で行こうと方針を決めて、連続攻撃を仕掛ける事にした。
凍らせるのは余り効果無かったので、こうなったら避ける事の出来ない程の速度の攻撃、音速を超えるとなったら、光速や電気だろう?
ライトニング・アローを10発用意して、即座に放つ。雷撃の速度は如何に素早くとも躱す事が出来ずにもろに全被弾し煙を上げながら感電して痙攣してギュモー♪t言う悲鳴をあげるミノタウルス。
どうやら、砕けたとは言え先程の水と氷の攻撃の水分が雷撃の効果を上げてくれたらしい。
今がチャンスだ!奴の足を無属性のブロックでコンクリート漬けの様に固めて身動きを封じつつ、高周波ブレードで首を横なぎにジャンプして斬り付けると間一髪で大剣を動かして俺の高周波ブレードを受け流す。
此奴、上手いな。と感心しつつ、今度はストーンランスを着弾直前で炸裂する様にして音速で撃ち出すと、先の様に躱そうとする物の、今度は目前で炸裂して、顔に無数の破片が散弾の様に降りかかり、奴の目に破片が刺さって、ギューモーと良い声で鳴いて居る。
ここにきて初めて奴に駄目時を与えた。気を良くした俺は再度ライトニング・アローを10発威力高めで発射した。悲痛叫び声を上げて激しく痙攣するミノタウロスに今度は負傷した方の目の視角から回り込んで高周波ブレードで首を狙った。
ギュモーと一際大きく咆哮すると、何と奴は、拘束している俺の無属性のブロックを自らの魔力で打ち消し、転げる様にその場から回避して、魔力を練ってブモブモと呟いたと思うと、奴の周囲に青い魔法陣が浮かび上がって一瞬の智に3m級のノーマルミノタウロスが現れた。
つまり、このままじゃヤバイと悟って、手下を召喚したって事だろう。
何だよ、マジで手下呼べるのかよ!?と自分で建てたフラグが正に的中した事に驚く俺。
おかしいなぁ~。
だが、
俺は現れた5匹のミノタウロスを実体化とほぼ同時くらいに魔弾でヘッドショットをキメて、葬り去った。
折角魔力を消費して呼び出した配下を何もしない内に瞬殺されたミノタウロスのボスは激怒の咆哮をギュオーーと上げるも、水魔法の靄を顔の周りに発生させて更に視界を奪ってその隙に奴の背後に回ってジャンプして奴の首の位置辺りに高周波ブレードで横凪に一振りして、その一瞬後に、ゴトリと首が床に落ち、ブシューと血の噴水を上げて居た。
俺は即座に避けて血塗れになるのを回避した。
こうして、ボス部屋の死闘は終わりを告げたのだった。
まあ、付け加えると、ボスが吹き出した多量の血の所為で、部屋が生臭く、死んだ後もその匂いによる攻撃でちょっとダメージを受けたのであった。
とは言え、キッチリ、ボスと手下の血抜きえを終えて回収し、奴の使っていた大剣・・・はっきり言って仕える人間は居ないだろう超重量物も回収し、いよいよお待ちかねの宝箱タイムである。
罠が無いのを確認し、開けたその中には一本の赤い鞘の刀があった。恐らく詳しくは無いが、太刀と言われる種類だろうか、一般的な時代劇で見る様な刀よえりゴツい。
ここで普通なら喜ぶ所なのだろうが、折角の高価なドロップ品を高周波で砕けさせるのも勿体無いので、記念品って認識の為に意外に冷静である。
そして、ボス部屋を出た俺は、ポータルに登録し、この世界の人類初かも知れない第41階層に降り立つのであった。
第41階層は思わず目を疑う様な場所に出た。
階段を抜けた先の出口から顔を出すと、そこは、断崖絶壁で、申し訳程度の幅の平均台かよ!?ってツッコミたくなる様な横道が崖に生えてる感じだ。
「わぁ~これは悪質だー!」と思わず顔を顰めて感想を漏らす俺。
もうね、仮に俺が空も飛べず、高所恐怖症なら、この場にしゃがみ込んでガクガクしている事だろう。
昔、隣国の観光地にガラスで作られた吊り橋の映像をニュースで見たが、この通路はある意味もっと悪質かも知れない・・・。
尤も、今日はボス部屋を攻略したところで終える予定だったので、皆との約束通りに早めに上がる事にしたのであった。
ゲートで自宅に戻ると、余りにも早かった様で余計に心配されたが、
「いや、第40階層のボス部屋をクリアしたから、区切り良かったし、今日は早上がりしたんだよ。」と説明すると、我が事の様に喜んでくれたのであった。
「一応、先に冒険者ギルドに第40階層クリアの報告入れに行くよ。」と言うと、アリーシアさんは、「判りました、今日はお祝いですね?準備しておきます!」と笑顔で見送ってくれたのであった。
だが、冒険者ギルドで報告すると、上を下への大騒ぎになってしまって、スンナリと帰してくれずに脱出するのに、大変苦労するのだった。
まあ、確かに歴史的な偉業なのかも知れないけど、まあ、俺としては趣味の範囲なので、逸れ程やったー!って達成感は無い。
普通ならボス攻略でレベルアップの局面なのに、勿体無いなぁ~と言うのが素直な感想だったりする。
さて、後日知った事だが、このダンジョンの再到達階層更新の速報は、王国内の全冒険者ギルドにアッという間に広がり、何十年振りかに俺をSランクに認定すると言う動きになったらしい。
ふむ、特に名誉欲的な物も承認欲求も自分では無いと思って居るが、日本で見た異世界物の定番のあの『Sランク』だ!それはそれで嬉しいかもしれない・・・。
と少し口角が上がるのだった。
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