第41話 王都 その4
ラルゴ邸に戻ったら、ラルゴさんが満面の笑みで待ち構えており、そのまま書斎の方に2人共にドナドナされた。
「お帰りなさい、トージ様、アリーシア様、お疲れのところ申し訳ありませんね。領主様と謁見の日取り決まったので、早速お知らせした方が良いかと思いまして。」と微笑みながら伝えて来た。
「ほう、意外に早かったですね! で、何時になりました?」と聞くと、「些か急ですが、明日の午前中、つまり、昼前って事になりました。」と言ってニヤリと含みのある笑みを浮かべるラルゴさん。
「なる程、了解です。じゃあ、後で少しキッチンお借りして宜しいでしょうか?念には念をで、少々ダメ押しの一品を追加して置こうかと。」と言って俺も悪い笑みを漏らす。
「あ、それなら、少し、その念とやらの味見なとお手伝いさせて頂ければ・・・」と真新しい食べ物に敏感に反応するラルゴさん。
「ああ、明日の分がメインなんで、本当に味見程度なら良いですよ。味見程度で。」と言うと「ええ、勿論ですとも、あくまで味見のお手伝いなんで。」ともう食う気満々でワクワク顔のラルゴさん。
何を作るのか? まあ、それ程凝った物じゃないよ!
キッチンを使って良いと許可が出たので早速、最近タルタルソースなんかでも大量に作った、マヨネーズをラルゴ邸の卵を大量に使って作り溜めして、置いて、芋を蒸かして可を剥いて、只管潰して、胡瓜の輪切りや軽く茹でた人参や玉葱に茹でたトウモロコシの粒を解して入れて、マヨネーズとお塩少々に胡椒少々混ぜて掻き回して出来上がり。ポテトサラダである。
「ト、トージ様!!!これは!?」とラルゴさんの目はボウルに割と多めに入って居るポテトサラダに釘付けである。
「みんなで味見しますか?」と言って、小皿を調理人のに4枚出して貰って、スプーンで4枚の皿に味見分+アルファーを取り分けてから、ラルゴさん、アリーシアさん、そして俺。皿にキッチンを化してくれた料理人にも渡してやると、興味津々に遠巻きに見て居た料理人が嬉し気に受け取り、人数分のスプーンを用意してくれた。
「美味っ!!!」「美味しいです!」「うん、良い感じ。懐かしい。」とラルゴさん、アリーシアさん、そして俺がそれぞれ良い反応を返してくれる中、調理人のオジサンはそんな物では収まらず、「何じゃこりゃ!?」と絶叫して、ユックリ味わう様にパクパクと食べて居た。
「何とも、素晴らしい料理です!」と絶賛されたけど、これどっちかと言うと、付け合わせなんだよね。
今回ポテトサラダで芋を蒸かしたが、どうせなら、真新しい所をもう1品行きたいところだろ?
事前に確認したら、ここのキッチンに油も十分あったし、(余り美味く無い)パンもあったし、オーク肉のミンチ作って、プライパンでポロポロに火を入れて、潰したポテトに挽肉を炒めた物を入れて塩胡椒を少々加えて味を調え、『綺麗な』手で捏ねて小判状に形を整えた物を大量に作って行く。、パン粉を大量に作って水分を魔法で飛ばし、準備完了。黄身を溶いた物に小判状の
油を鍋に惜しみ無く注ぎ、適温になるまで熱して行って、菜箸を入れてポコポコと気泡が出た頃合いに手早く黄身とパン粉を付けて衣を纏わせ、次々に油に投入して行くジューパチパチと油が踊る音が聞こえ、順に裏返して、こんがり狐色になったら、網を敷いたパレットにドンドンと
並べて行って、アブブラを切る。50個程上げ終わったら、火を消して、小皿にコロッケとタルタルソースを少量置いて全員に配る。
初めてのコロッケや如何に?「!!!」と絶句するラルゴさんに「これも美味しいです。外がサクサクで堪らないです!」と良いポイントを褒めてくれるアリーシアさん。
そして、料理人のオジサンは「美味過ぎる・・・これが料理なら、俺が今まで作って来た物は?」と愕然としていた。
まあ、俺がドヤ顔で作っては居るが、レシピ自体は、日本じゃ、普通にネットで検索してみれば沢山ヒットする物の1つを俺がパクったに過ぎないのだ。
でも大丈夫!?異世界だし、著作権の範囲外だろう。 レシピを公開してくれていた、善意の第三者に感謝である。
日本の美味しい食文化は俺の出来る範囲でこちらの世界に普及するから・・。と多分今は亡き?レシピの作者に手を合わせるのであった。
「最初のは、ポテトサラダ、これはコロッケで、上のうす黄色のソースはタルタルソースって言います。久々に作ったけど、コロッケもバッチリですね。
まあ、私の好みだと、コロッケにはウスターソースが欲しいんですが、作るの大変そうなので、まだ保留っすね。」と締め括った。
まあ、折角油もある事だし、序でにオークカツ作って見たんだけど、トンカツソースないので、大根おろしにポン酢を掛けた物をソース代わりにしてみたが、これはこれで美味しかった。
そうそう、降ろしハンバーグとかも美味しいよね。出来れば刻んだ大葉も欲しいけど・・・大葉はまだ見つかって無いのが残念だ。
オークカツもパン粉の残量の問題で、20枚ぐらいしか揚げられなかったけど、キッチリ、『時空間庫』に収納して置いたさ。
最後にご飯を炊いて、肉巻きおにぎりや単なる塩握りを作って、本日購入した岩海苔を少し火で炙って香ばしさを出して、塩にぎりに巻いておいた。
久々の海苔を巻いたおにぎりは非常に美味かった。
梅干しは当面無理としても、今度具の為に海藻・・・昆布っぽいので塩昆布とか作ってみるかな!?
ああ、やっぱり、楽しい!と美味しい料理の試作会は終わったのであった。
元が貧乏症なので、大量の油を只捨てるのは非常に気が退けるので、一応貰って置いたが、この一回使った油、酸化した油を何とか魔法で元に戻せないかと真剣に考えるのであった・・・。
浄化とはまたちょっと意味合い違うし、化学的な事は弱い分野で難しいので今一つ判らない。
勿論、『女神の英知』にもそんな項目なんて在る筈が無い。
揚げ物は美味しいが、主に油のコストが大きなネックである。
フィルターの様な物で濾しても結局一度使った油の二次使用は大きく味が落ちてしまうのだ。
錬金術なら上手く精製出来る可能性もあるのだろうか?
換気扇の事もあるし、早めに参考書等を入手せねば! と心に誓うのであった・・・。
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