第42話

 「雫ちゃん!!ごめんね私見ているだけで」


「・・・大丈夫です。ありがとうございます。」

 妹の主人が妹を抱きしめている。


 自分の奴隷がボコしたあとに思うのはなんだが、本当に主人が優しい女の子で良かったと思う。


 軽くボコられた妹は再び口を開く


 「アンタこそ、知らないでしょ。」


「何が」


「私と、クソ兄貴のこと」


「知らないけど、さっきの行為の恐ろしさはアンタより知っているつもり」


「なら、クソ兄貴がいかにクソかは知らないじゃん」


「・・・っ」


「どうせ、アンタもクソ兄貴のこと弱そうとかインキャとか思って虐めたんだろう。まうちゃんもそこも奴隷もよ!!」


3人のことを指差す。


「クソ兄貴はね、辛いことを吐き出すことが苦手でね。本当は内心恨みだって、悲しみだってあるんだよ。なのに、それをずっと隠して、お父さんが亡くなっても、私に笑顔で、人のことばかり考えて、お母さんが亡くなっても、何も変わらないように人のことばかり、どんなに学校で虐められても、それを隠し続けて、ずっと平気でいるの。本当は誰とも仲良くしたいのに、それすらも一緒に封じ込める。」


「雫、そんなに思ってるなら何で」


「だから、私は少しはお兄ちゃんの本音が知れるように、虐めたのに、全然それも表にダサないの!奴隷になった時に紙に書いてあったよ。あれ大事な形見だったんでしょ、そんなこともいちいち黙ってさ、少しは私がこうなって、スッキリしたと思わないの?何でまだ私の所に来るの?意味わかんないけど?私のこと嫌いでしょ?嫌いなら嫌いらしくそのままで居させてよ。私だって少しは自分のやったことを反省したいんだよ。なのにこのお兄ちゃんはまた私のところに来て、何も意味ないじゃん。」


どつしよう、妹が早口過ぎて何を言ってるか分からない。


 だけど、妹は自分の体の痛みよりも今言ったことについて涙が出ている。


 「雫ちゃん、それでもお兄さんが迎えに来たくたんだから、ちゃんと良いな。本当に言いたことをいいな、これは命令だよ。」

さっきまで妹に怯えてたのに、 お姉ちゃんのようにあやしながら、妹の主人様が妹の涙を拭きながら命令をする。


 「わ、わかりました。」


妹は俺の方に来る。立つのもやっとなのに、そして俺を抱きしめて


 「今までごめんなさいー!!迎えに来てくれてありがとう!!本当は凄く凄く、嬉しかった。ありがとうお兄ちゃん!!」


俺は久しぶりに妹の感謝を聞いた。

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