間違って裏通りに迷い込んだ瞬間みたいなざらつく感触

 断ち難い奇妙な悪縁と、その行き着く先の物語。

 とある男性ふたりの関係性を描いた、現代もののお話です。
 大学生の青年と、その元恩師であるやや怪しい男。彼らの関係性というか距離感というか、その間にある独特の空気感に惹かれます。

 語弊を厭わず言ってしまえば、色香を感じる間柄。
 互いが互いをどう思っているか、なかなか直接的には語られないのもまた素敵なところ。
 ついいろいろと想像したり、深読みさせられてしまう魅力があります。

 個人的には好きなのはやっぱり髙橋さんの怪しさ。
 どうも本当に何か碌でもないあれこれに手を染めているみたいで、その醸すダーティさやアウトローっぷりのようなものが、何か不穏さとして漂うところが印象深いです。

 平和な日常の裏通り、少し外れた世界の入り口に連れ込まれるような、ざらつく手触りが素敵なお話でした。