出鱈目だらけのエッセイ

 カクヨムには『エッセイ・ノンフィクション』のジャンルがある。一つに括られているという事は、『エッセイ』と『ノンフィクション』とは近似したものと思われるが、全く同じものならば何方かの言い方に統一して良い筈である。


 エッセイとはなんぞや。

『思索、意見、感想等を自由な形式で簡潔に述べた文学の一ジャンル。 随筆、雑記、随想録、筆録』


 ノンフィクションとはなんぞや。

『史実や記録に基づいた文章や映像等の作品』


 ノンフィクションは文学に限らない表現のようで、フィクションの対義語でもある。一言で言うのならば『妄想ではない』という事か。


 一方、エッセイの定義には『思索、意見、感想等』とあった。要は、妄想が混入しても構わないという事か。となると、エッセイは小説(フィクション)とノンフィクションの中間辺り(幾らかノンフィクション寄り)に位置する事になるのか。


 カクヨム内で「エッセイは読まれて星が付くけど……」というぼやきを見掛ける。

 何方かと言うと、創作に於けるエッセイは『手軽』『平易』『息抜き』等のイメージがあるのかも知れない。肩書きに『エッセイスト』とあるのと『小説家』とあるのとでは、格に違いがあるようにも思える(序列の判断は各自に任せる)。

 中には「小説は難しくて書けないけれど、エッセイくらいなら書ける」という人も居るのではないか。「小説は下準備とか推敲が必要だけど、エッセイはアドリブで書き散らせるじゃん、しかも読まれ易い、星が付き易い」――。


 確かに、小難しい世界観を提示する小説よりも、身辺雑多をフランクな言葉で綴るエッセイの方が、頭にストレスを掛けずに読めそうだ。

 ただ、それにしても、全く知らない誰かの全く興味のない内容を読むのは根気が要る。だから、それを読ませて面白いと思わせるには、余程の筆力がなければと思う。


 だからこそ却って評価は悩ましい。内容自体(書き手の出自や体験等)が面白ければ評価に値するのか、内容は在り来りでも筆致(独特の視点や描写等)で読ませてしまう事が評価に値するのか。

 勿論、何方も傑出していれば良いのだけれど、カクヨム内でどう評価して良いものか、未だに二の足を踏み続ける自分が居る(何なら評価不可能で逃げてしまう)。

 それ程、評価基準という意味では、『エッセイ・ノンフィクション』ジャンルは他ジャンルとは別様の意味を持っていると思わざるを得ない。


 単純な話、『カク友』(カクヨム内の友達)同士になれば、SNSで駄弁る感覚で興味を持って読めるのだろう。孤独を愛する者は気軽な筈のエッセイからも疎外されるのだ。


 

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