どれくらい想えば、あなたにこの思いは届くのだろう
幼なじみで最愛の人、しんちゃんが死んで七年ののち、零菜の人生は、唐突にまわりだす。
「心はどこにあるの?本当のあなたはどこにいっちゃったの?」と語りかけ、その均衡をやぶったのは一人の女性だった。
彼女はしんちゃんと病院で出会ったと零菜に告げる。
零菜はまさか、と思いながらも、次々としんちゃんが精神を煩い病院に入院していたという事実を目の当たりにする。
零菜はその事実をうまく受入れられぬまま、しんちゃんが幼い頃に見たという風景に惹かれ、ニュージーランドへと旅立つ。
零菜はひょんなことから、留学コンサルタントの陸と一緒に暮らし始める。
そこへある朝、訪問者が突然あらわる。
それは零菜の心を揺るがした彼女――瑞希――だった。彼女は陸の昔なじみらしい。
そんな折、大学の同級生で、しんちゃんを亡くして以来零菜を支えていた内海がニュージーランドを訪れる。彼は零菜にまっすぐな気持ちをぶつけ、一緒に日本に帰ろうと申し出る。
その重い空気の中、再び玄関のチャイムが鳴る・・・・・・
時は過ぎ、十一年後、新しい恋が動き始める。
しんちゃん、陸、瑞希が出会った病院での一夏の物語――夏の柊 Vol.1――の続きの物語二編です。(Vol.1は執筆中)
最初の八話までは二十八歳の零菜を、九話からは十九歳の進を主人公として話はすすみます。