第40話 なぜ?君ならできる!

ボクシングジムの学費は父がこっそり払ってくれて、しかも丸一年間だった。


これは温涼ウェンスズミから聞いた。


「どうして彼は知っているの?」と俺は当惑した。


「前回、彼が家に会いに来たとき、料理をしながらこっちからその話を触れた。君にとって良いことだから協力したいと言ってくれた。」


「今日はわざわざ父に会うためにボクシングジムに来たの、お父さんも君の才能を褒めたよ!」


温涼ウェンスズミはそれを隠さずにズッパリ教えてくれた。


「もう、余計なこと、こっちまだいくつかの貯金を持っている」と俺は低い声でつぶやいた。


すると彼女はわざと、「何を言ったか?もっと大きな声で」。


「ねえ、彼らは他について何か話したの?」


「学費を払いだけで、何を話してほしいの?」


「まあ……何か話そうか、いや、どうでもいい……」


俺にとって、父親が自分の人生に干渉することをあまり望んでいませんが、現実的におよび経済的な問題を抱えているため、そんな余裕はなかった。


温涼ウェンスズミは彼の気持ちを一目でわかったから、この話しを続けず敢えて別の話しにし始めた。


「大学入試の目標について考えたことはある?」


「え?なんでいきなりこれを聞くの?」


「お互い今高校3年生だけど、聞かないと変じゃない?」


彼女はそれを当然のことと考え、俺は見上げてしばらく考えた後、どうしようもなくため息をついた。


「考えてなかったが、監督や脚本家になるって言っていたじゃない?そうだ、元々のタイムラインで、俺の大学入試の点数はどうだった?最終的にどこの大学に行ったの?」


温涼ウェンスズミは指で顎を触れ、目を伏せて思い出し、「大学受験にうまく発揮できず、540点しかなく、一流大学に入れず、二流大学で金融を勉強しているが、あまり好きじゃなかったから、たまたま脚本業界に入った」(※1)


「ハァ!?540点?今から大学試験をやってもこの点数より高く取れるよ!」


俺はショックを受け、来月のテストで100点を失うことも珍しくないと父親に話しましたが、それはただの怒りの言葉でした。


俺は勉強のことなら、結構一生懸命だった。得点目標も明確で、来年6月の大学受験660点以上を取ることだった。このネタバレで本当に背筋が寒くなりました。


論理的にいえば、あと10ヶ月ほどあるのですが、50点を狙うのは至難の業ではなく、何でそこまで下落したのでしょうか。


「受験当日に俺がテスト教室から逃げ出したのか、それとも誰かが怒れてしまい俺の解答用紙を破ったのか?」


俺は尋ねるのが待ちきれず、温涼ウェンスズミの目は少しかわされていました。


「緊張しすぎたのかも!来年の大学入試テストは過去10年で一番難しいと聞いた」


「そんなに緊張したら、どれほど難しいテストかよ!…」


俺は信じられずに呟き、彼女は再度話題を変えた。


「ところで、一緒に港城映画学院の試験を受けてみませんか。監督学科の合格ラインは一般的に二流大学と同じ、昨年は430点でした」(※2)


これを聞いて、俺は少々興味を湧いてきた、趣味として映画が好きだけと、今まで将来の仕事としては全く考えていない。


だから、いくつかの懸念を持っている。


「映画学校のテストまではあと5ヶ月しかないよね?君でさえ演技の勉強を3年間も続けていたから、素人の俺には時間が足らないでしょう?」


温涼ウェンスズミは真剣にうなずき、しっかりと答えてくれだ。


「間に合うよ!監督学科の面接は専門的な質問ばかりではない。例えば一次試験は簡単な筆記試験で、例えば、ペッパピッグの着ている服の色は?」


「…赤」


「『睡蓮』の作者は?」


「モネ、こんなの聞く?」


「ほら、これは昨年の監督学科の筆記試験での本当の多肢選択問題で、まだ選択肢を与えていないのに、すべて答えられた」と温涼ウェンスズミは両手を広げて言った。


俺の目が疑うように「冗談でしょう」と聞いた。


「まあ、すべてそのような質問ではなく、たとえば、2018年にヌリビルゲジェイランで上映された映画の名前は何ですか?」


温涼ウェンスズミは微笑んで聞いた。


「えっと……読まれなかった小説?」


俺はあまり確信ではなかったが、普段映画祭に少々関心を持っているため、少し印象があり、それにしでも数年前のニュースでした。


「正解!監督学科の一次試験の問題範囲は大体最近の映画や時事ネタ、日々の話題をまとめたもので、そこには型破りな文学や芸術、さらには二次元の知識までもがたくさん混ざっている」


「君なら普段の知識積み重ねだけでも、十分高い点数を取れそうな気がするよ!」


「こんなに簡単なの?」


「まさか!」温涼ウェンスズミは頭を振って彼に冷水を注いだ。


「四回の試験があるから、これは最初の試験にすぎず、合格率は非常に高く、二次試験は面接形式で直接質問に答える形、主に監督の可能性があるかどうかを判断らしい」


「三次試験はストーリー構想で、物語を語る能力を測る、四次試験は非常に難しく、三日間もかかり、企画からリハーサルし、ステージでまでのプロセス全体が行われることをテストする」


「……そう言われて、ふとほっとしました。そうじゃないと、何年も勉強を頑張ってきた私たちが、芸術生が大学受験で三四百点だけで一流大学に合格の見て本当につらくて、今ならようやく理解したわ!」


「ねえ~」温涼ウェンスズミは眉を上げて、「賀監督はどう?やってみませんか?あなたはとても才能があると思うし!」


「今ならワンステップでできるから、前のタイムラインのように、何度も回り道をしなければならなくて済むし」


俺は躊躇し、「この件はよく考えないと」と言った。


「まあ、よく考えたほうがいいと思うけど、やると決めたら手伝うから」


温涼ウェンスズミは腰を伸ばして怠惰に言った。


「もしこの話しが本当に実現可能なら、それこそ俺の運命を変えたって言えるでしょう?」


俺はぼんやりと言いました。


十七歳近くの人生で初めて、足元に岐路を感じたのです。そして彼をここに連れてきたのは、一度人生を経験した少女だった。


「あなたがより良い人生を送れることを願っているわ。たとえこれをやりたくないとしても、君の判断に任せる。何にしろ、これはあなたの人生ですから」


彼の複雑な表情を見て、温涼ウェンスズミはそっと言いながら、手を伸ばして少年の頭を撫でようとしたが、少年は突然後退して避けた。


「ねえ、前回朴店長の前で頭を撫でたのをしょうがないが、女の子のお尻と男の子の頭もさりげなく触れないでしょう?しかも撫でられる側も間違っているよね?!普通、俺の方が撫でるでしょう?」


雰囲気を重くしたくなかった俺は冗談を言い、彼女の頭に触ろうとしたら、彼女はニヤリと笑って隠れずに近づき、少年の手は空中で止まり、どうしても下に置くことができず、なあなあで手を引き込んだ。


「ねえ、もし本当に助けたいなら、大学入試の答えを教えて。俺も成績トップになり、清華大学とか北京大学に行った方がいいのでは?」


先に彼の反応を知っていた温涼ウェンスズミは鼻を鳴らし、指を振って言った。


「バタフライエフェクトって言ってなかった?結構アドバイスしてだから、まさか大学入試の答えが欲しいって?例え、合格しても実力でなく、入学したらもっと危ないでしょう?」


「それなら、俺が監督に合格できると思っているの?昨日「なぜ俺に」と親父から皮肉されたし…」


「お父さんは本当にそう言ったの?」と温涼ウェンスズミは不思議そうに尋ねました。


「そうよ、何かをする前に理由を自問し、わからない場合はやらない、とにかく、今言っていることが興味あるが、ただ、なぜかはまだ思いつかない」と俺はうなずいてつぶやいた。


「お父さんが言ったことをよく覚えているが。未来から戻ってきた予言者の私の話しをすぐに忘れてしまうね!」


「ハァ?」


「なぜか?当たり前じゃん、君ができるからだよ!この!愚かな!バカ!」


温涼ウェンスズミは怒りを込めて、両手を上げて彼の頬を左から右に荒らし、顔は生地のようにこねられました!


こうなら、先程頭を2回撫でればよかったのに…


すると、温涼ウェンスズミは突然立ち止まって「ちなみに、数学の最初の問題はCを選んでください」と断言した!


「ハァ?」と少年は思わず口を傾げ、声が出られないほどだった。


「入試問題の答え、それくらいしか覚えていない」


「……」


(※1)中国の大学受験は全国統一のセンター試験のようで、満点750点で、算数、国語、英語は各満点150点、プラス文系か理系の300点です。

文系とは(社内、地理、政治)、理系とは(科学、理科、生物)

中国のセンター試験は毎年の6月の第一週目が行っているため、黒の6月ともいわれている。日本の受験生と同じで、学歴社内の中では生死に関わる人生の分水嶺である。


(※2)

港城映画学院とは、架空の学校です。


中国では芸術生と呼ばれている学生達は、演出とセンター試験同時必要ですが、ただ芸術系の大学の合格ラインはセンター試験の点数がかなり低く、演出のほうを重視している。


中国の芸術系大学といえば、一般的な美術系だけではなく、歌手や作曲を目指す音楽系大学、俳優、女優、監督など映画ドラマなどに関係する大学がある。


有名なのは「北京映画大学」通称:北電、「中央演劇学院」通称:中劇、「上海演劇学院」通称:上劇


これらは中国でトップ三の演技監督大学であり、現在芸能界で活躍している数多くの監督と俳優たちはこちらから出身校として名を知られている。

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