第44話 密会2

「改めて、聞くとエグいな…これだけ、荒らしといて、何も法の裁きを受けてないのは、法治国家として危機すら感じる」


マイケル・ヨルダン検事は話した内容に憤りを抱いてるようだ。

そりゃそうだ。


「スカーフェイス君、君は組織を解体したい聞いたが…それは、今も変わらないかね? 」


「はい」


俺は、本心からこの組織を解体したいと、皆に告げると、アザレアは「私は、ちょっと躊躇いがあるんだけど…」と言うと、「アザレア、それは諦めろ…例の遺書の筆跡鑑定だって出てる筈だ、それはどうした? 」


「鑑定の結果は本物でしたわ、間違いなくお父様の字だったと…」


「なら、余計に組織を解散するべきだ、何だかんだいって組織のトップにロジャーを指名した親父の目は節穴だったんだ、お前の身の振り方だって俺が何とかしてやる」


「お兄様…それでも、私は…」


「組織の存続は、この国はもとより、お前自身を不幸にする……なぁ、なんで、そんなにユースティティアを存続したいんだ? 」


「お父様が…生きてらっしゃた時の思い出が、私にはありますの、あの頃は組織とか考えずに済んでましたわ、でも……お兄様の言う通りのかもしれません、確実にユースティティアは、みんなを巻き込んで不幸にしてますもの」


アザレアは幼い時から、この組織を見ていた亡き親父と共に、それは、善悪ではなく、純粋に親父との生活が楽しかったから…だから、ここまで、組織に依存した考えを持つ羽目になっているのだろう。


「ちょっと、お二人さん、いいかな? 」


ジャーナリストのアレクサンダー・ガッティが、俺たちに言いたい事があるみたいだ。


「アザレアさんは分かった…だけど、スカーフェイス君、君はどうして、そこまで組織解体までに拘るんだい、君はさっき、ヨルダン検事からの質問で、組織解体に同意するかと、聞いたら、はい、と言ったね、そこまで突き動かす原動力はなんだい? 俺はジャーナリスト何だけど、ユースティティアはともかく、君までは調査してないんだ、聞かせてくれるかな? 」


「それは、親友、マーク・ベスティを殺されたからです、あいつは無二の親友だった、それが、ユースティティアの身勝手な理由で消されたんだ、それに黙っていろというのが、俺のポリシーに反するのさ」


「ポリシーか、そうか君は損得で動く男じゃないのは、分かった、さて、話が逸れてきたし、そろそろ、ユースティティアをどう解体するのか、具体的に話そうじゃないか」


それは、そうだ。

すると、ダニエル・J・コーベットがそれについて言及してくる。


「奴等は、首都イデアルに堂々と本部を構えてる、現在、事実上の首魁のロジャー・セラノもそこにいる、そこへ、俺たち、警察が今までの容疑や現在、進行形で行われてる犯罪行為を元に裁判所から捜査、逮捕令状をもって突入する、ロジャー・セラノを逮捕する」


もう、そこまで、やっているのか…問題は逮捕してから奴等を庇う存在だ。


それに、マイケル・ヨルダンが「検察も今までのように黙っていませんよ、ちゃんと起訴をします…と同時に特捜部も動いて貰います、癒着していた政治家共を、一掃してみます」


これでやっと、奴等に復讐出来る、俺は腹のそこから、ほくそ笑んだ。

そこへ、ロバート・アルゲリッチ議員は、話に追うように、「私も黙っていられません、この事を党を挙げて追求します、以前から今回まで、現在の与党議員が多く絡んで来てるのですから、無論、我が党にも癒着している者もいるので、これも追求し、除名までもっていけたらと思います」


「これで、奴らを壊滅出来ますね…」


椅子に寄りかかり、上を向いた。

マーク、復讐まであと一歩なんだ、もう少し待ってくれよ。

だが、待てよ、気になる事があった。


「なあ、コーベットよ、ロジャーの奴がズィクタトリアへ逃げたらどうなるんだ、その場合は…逮捕は…」


「出来ない! 執行権が及ばないからな、だから、奴がいる、今、逮捕まで踏み切る必要がある、決行は明日だ」


「心配しなくても、大丈夫だよ、彼らがワープでもしない限り逮捕は確実だ」


マイケル・ヨルダン検事がフォローする。


「寧ろ、逮捕したあと、組織をどう解散する気だい? これだけの大所帯だと分裂騒ぎにもなるだろう」


「なるだろうな…新しくマフィアとしてやっていく奴も公正して社会に復帰する奴もいるだろうし、だが、俺だって黙っている訳では、ない、アザレアと協力して、あぶれた者達の受け入れ先を作るつもりだ、なあ、アザレア」


俺のお願いにアザレアは勿論ですわ、と元気よく返事をしてくれた。


「そうか、難儀な道を進むものだ、私の知り合いにも、民間で頑張って会社を運営してる者もいる、協力が出来るならお願いしてみるね」


マイケル検事の助力に思わず、ありがとうございますとお礼を俺は言った。

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