第36話 個体差はそれぞれ
「よお、2日ぶりだな。」
目の前に立ち塞がるトロールを見上げる。
「相変わらずでけぇ図体してんな………あれ?ほんとにこの前のよりデカくない?」
昨日出会ったトロールよりも明らかに大きなその図体に驚き、思わず金城に尋ねてみる。
俺と目が合うと彼女は思いっきり首を縦に振っており、俺の思い違いではない事がわかる。
個体差があるのは知ってるけど、こうも変わるものなのか?既に金城さんも協力した方がいいか見計らっている。トロールのような大きさ=強さの魔獣は単純に大きい個体であればある程強い。
「金城さん!まだ手は出さなくていい。信じて待ってて。」
少しズルい言い方かもしれないが、彼女にはこういうやり方が効く。案の定、俺の予想通り臨戦態勢を解いた。
さてと…動きが鈍いのは相変わらずだが、図体がデカい分歩幅も大きい。それにこの攻撃範囲。ただのパンチでなんて威力だ。風圧で体が飛ばされそうだ。
敵の動きを見極めるためにもギリギリで攻撃を回避するが、パンチの衝撃で放たれる風圧に吹き飛ばされそうになる。
ステータスが上がってたお陰で助かった。
肉弾戦で使えるスキルは【
今までは触れる事でしか使い道がないと思っていた【
地面に両手をつき【
「これで終わりじゃねえよ!」
刀身から毒が溢れ出す。
身動きが取れない相手なら最大限まで霧時雨の力を溜め込む事ができる。
「片足貰うぞ!【霧時雨】」
毒の斬撃は落とし穴にハマっていたトロールの片足を切断する。
やった!霧時雨はこのデカブツ相手でも通用する。溜めに時間こそかかるが動きを止めさえしてしまえば確実に倒せる!
勝機は見えた。
片足を失ったトロールは立ち上がる事が出来なくなったものの、変わりにその場でジタバタと暴れ始めた。
クソ!あの図体で暴れられちゃまるで一つの災害だ。砕いた岩とかガンガン投げてきやがるし…力を溜めてる暇がねえ。
「草介さん!私が遠距離からやった方が……きゃあ!」
俺を助けようと身を乗り出してきた金城だったが、トロールの投げた岩が彼女の真横を通り過ぎる。
金城さんの魔法も発動する隙がなければ使えない。今のやつは無差別に岩を投げまくっている。一歩間違えれば即死だ。急いで彼女の横に行き、共に物陰に隠れる。
「危ないから此処に隠れてて。今出て行ったら最悪死んでしまう。とにかく今は様子見するしかない。」
その時は突然訪れた。
先程まで大暴れしていたトロールが力なく倒れ込んだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━
よろしければフォローと☆☆☆よろしくお願いします!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます