間話 《200万PV感謝記念》火蓮の再会の日

遅くなりましたが200万PV感謝記念の話です。

300万400万感謝記念も書きますのでしばらくお待ちください。

今日は2つ目の更新ですので本編もお読みください。

この話はしばらくしたら2章の後ろに移動させようと思います。よろしくお願いします。


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これは、火蓮が紫音と暮らし始める少し前のお話。


その日、火蓮はダンジョン探索をお休みしていた。

黎人にわざわざ派遣家政婦をキャンセルしてもらってまでやっている黎人の家の管理。

しょっちゅう掃除もしているのでそこまで埃が溜まるわけでは無いのだが、人が居ないと家が傷むと言うし、何部屋もあるので一気にやるのではなくローテーションを組んで週一でお邪魔している。


今日はその前にやりたい事もあったので表参道を歩いていたのだが…


「あれ、あそこ歩いてるのって柊じゃね?」


「あー本当だ。柊さんだ」


「柊ちゃん、何してんの?暇なら俺らと遊ばね?」


通っていた学校の陽キャグループの男子に声をかけられてしまった。


私はギャルのファッションが好きだっただけで、コイツらと関わる事は無かったのだが、コイツらは彼女持ちの癖に事あるごとに軟派な声をかけてくるうざい奴らだったのは覚えている。


無視して過ぎ去ろうとしたのだが、うざさは健在らしく、付き纏う様に着いて来てしまった。


私が無視して歩く間も遊びに行こうだの、お茶しようだの軽い言葉が次々とでてくる。


そうしている内に私は目的地に着いて来てしまった。


「目的地に着いたので」


私がそう言って中に入ろうとすると、喋ってしまったのが良く無かったのか、3人はチャンスと見て矢繋ぎに話しかけて来た。


「あ、聞こえてたんじゃん」


「俺たちも一緒に行っていい?」


「なんなら奢ってあげようか?」


イラついていた私はついつい言い返してしまった。


ですよ?」


「ブランドかーまあ条件によっては買ってあげても?なんちゃって」


「お前ゲスいわ。俺も彼女になんか買ってあげようかな?俺達大学決まってバイト三昧だから金持ってるし?」


「そうそう。中退の柊さんにもお裾分けしてあげようか?

俺最近別れちゃったし最後までデートしてくれたらだけど」


そう言ってゲラゲラと笑っている。


「いいんですか?この店?」


私が今から入ろうとしているのは《twilight.M》だ。

みんなの憧れ《twilight.M.Azure》では無く、世界のトップブランド《twilight.M》である。

高校生のバイトでは《twilight.M.Azure》でさえ、彼女でも無い女にプレゼント出来るほど稼げるかも怪しいのに《twilight.M》は1番安い物でもそこそこ成功した人がマリッジリングに奮発するくらいの値段なのに。

店名も見ずに話してるんだろうな。


勿論私も購入では無くて、師匠に貰ったネックレスをメンテナンスに来ているだけなのだが。

しかも、マリアさんを紹介して貰って、マリアさんのゴリ押しで2ヶ月に一回無料メンテナンスして貰ってるだけで、私がお金持ちになったわけでも無いのだけど、それはコイツらに言う必要は無いだろう。


私がドアの前に立つと、ドアが自動的に開いて、中から挨拶が聞こえた。


「柊様、ご来店ありがとうございます。お待ちしておりました」


この店員さんは初回の時からお世話になっている店員さんで、いつもどうなってるのかと思うが、来店時にはこうしてドアまで開けてくれるのだ。


「お連れ様ですか?」


「いえ、違います」


「そうですか。では、こちらへどうぞ」


私の後ろを見た後に、連れ立って来たのか確認してくれた。

勝手に着いて来たのだから別だよね。

私は店員さんに連れられて席へと案内された。


後ろで、別の店員さんが丁寧に対応している。

さっき言っていた様に、彼女へのプレゼントと言う言葉が聞こえて来たが、それ以降は私も離れてしまってわからないけど、悪い様にはされないだろう。


「柊様、ネックレスお預かりさせていただきます。それと、そちらも一緒に致しましょうか?」


そちらと言うのは、私の右手人差し指にはまっている《twilight.M.Azure》の指輪だ。

自分で一生懸命稼いだお金で、購入した。

この店はAzureでは無いのに、ネックレスのメンテナンスの間にカタログを見せてくれて、一緒に私に似合うモデルを選んでくれた。

そして、その日のうちに取り寄せまでしてくれたのだ。

私が世間話のつもりで言った話が発端だったのだが、高級店のおもてなしを感じた瞬間だった。


それはいいとして、メンテナンスを終えて店を出る頃には3人は居なくなっていた。


ホッとしたのもあってお腹が空いたので、ドーナツでも食べようかと店舗に入った。


「あれ、火蓮じゃない?久々じゃない、急に居なくなるからビックリしたわよ」


「え、みかち?」


ドーナツチェーン店の店員は高校の時に仲の良かった宇野美嘉子うのみかこだった。

今日は良く人に会う日である。


「えっと、店内ですか、それとも持ち帰り…

いえ、火蓮、この後時間があるなら店内にしなさい。私もあと10分で上がりだから。ね」


私がテーブルで待つ事約5分。


美嘉子みかちは店長に言って早めに上がれたらしくドーナツとドリンクを買って席までやって来た。


「火蓮が急に居なくなって私達の中ではちょっとした騒ぎだったのよ。メッセージは帰ってこないしさ」


「ごめん。色々あってさ」


「いいよ。なんか元気そうだし。あいつらにも連絡入れてあげていい?心配してたからさ」


あいつらと言うのは仲の良かった他2人の事だろう。

私達はジャンルは違うがファッションが好きで仲の良かったグループだった。

私はギャル系で美嘉子みかちは大人女子系と言った様に。美嘉子みかちはこうやって私服で会うと大人っぽくて年上に感じる。


「なんか来たいって。いい?」


私は迷いなく頷いた。仲のいい友達なら勿論私も会いたいのだ。仲のいい友達なら。


「火蓮の話は2人が来てからね。

それでさ、聞いてよ。私大学受験無理そうでさ、後1年勉強漬けとか嫌になるの__」


久々の友達との会話はとても楽しく、後の2人が合流した後は閉店間際まで話し込んでしまった。

私は、来週ちゃんと掃除しますから今週だけはサボらせてください。と心の中で師匠に謝った。














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