第179話 急募!京都大使館員増員。そして京都所司代?

永禄十一年 四月


正直、政治的な根回しは好きじゃないし得意でもない。でもやらなきゃ生き残れないし長生きしたい。なので、朝廷にも幕府にもこれでもかっていうくらい、献金した。信長が本願寺だか堺だかに命じた矢銭?とは比較にならないほどの金額だ。


そして、


求人募集をだした。武家ばっかりだと、やっぱりね。固いんですよ。常陸介叔父上はざっくばらんだけど、皆が皆そうじゃない。やっぱり地元に根付くって意味で、領内と京都と堺湊、三ヶ所で募集をする事にした。


もちろん、爆破事件の事があるから厳重な審査を行った。


今までは隠密に行動をしていたが、公に開設する。小佐々弾正大弼純正の正式な京都大使館、詰め所だ。ゆえに警備も厳重にする。歩兵と銃兵を一組にし、周辺には狙撃兵を常駐させる。


弓兵や槍兵も、騎兵とあわせて警備する。お互いの弱点を補う編成を行う。

(銃は連射できないし、前装式が面倒だけど、なんとかならんかな工部省・・・。)この様にして警備兵を常備するのは理由があった。


実は禁裏の守護をたのまれたのだ。

当然その業務上、大使館は内裏のすぐ近くに居を構える。


誰に?

義父上だ。


義父上といえば先の関白、准三宮二条晴良。まったく大変な人を義父上にもったものだ。記憶では、内裏の警備は承久の乱までは朝廷内部でやっていた。その後鎌倉時代は六波羅探題、室町時代は奉公衆がやっていたはずだ。


しかし応仁の乱の後、幕府は弱体化してしまったから、誰も守る人がいない。


・・・そこで、俺に白羽の矢が立った訳だね。うーん。まあ、いいんだけどね。ただ、今の将軍は足利義栄。三好三人衆を刺激するといけないから、あくまでも内裏の警備を行う機関として、『京都所司代』を新設させてもらう。


もちろん、帝の勅書でね。


当然室町幕府の許可は得る。あくまでも、内裏の警護だ。洛中の警備も行うが、政治には一切関わらない。それを前提として許可してもらった。


そして、その兵力は五千。もちろん。常駐ではない。洛中に(詰め所を)多数散在させ、平時は普通の町民として過ごす。常備兵は五百ほど。それを交代で休ませながら詰めさせる。


一朝有事の際は大使館もしくは内裏詰め所の鐘で危険をしらせ、内裏組と大使館組で分かれて集合し、それぞれを警備する。


肥前からの兵員輸送は艦隊を使って行う。爆破事件の犯人も見つかっていない中、しかし、立ち止まってもいられないので、実行する。


油津や外浦の湊を経由して土佐の宿毛、そして堺港へ兵を輸送させる。時間はかかるだろうが昼夜を問わず行う。二ヶ月~三ヶ月くらいはかかるだろうか。当然銃や弾薬、そして大砲も、念のため持っていく。


帝に拝謁を賜わろう。できないかな?義父上パワーで。一応官位も先祖代々の従四位下弾正大弼だしね。あ。信長より上やん。これは・・・まずくね?大丈夫だよな。


ま、気にしてもはじまらないか。


さて、それでは準備に入ろう。

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