第85話 省庁再編と永禄七年度予算会議

 随分遅くなったが、それぞれの役割分担と業務効率を上げる為に、省庁再編を行った。


 あわせて永禄七年度の予算会議を実施。


 領地も増えたし、再度の見直しが必要だったからね。予算会議は毎年行い、追加・補正予算は都度実施する。


 当主 

 小佐々弾正純正(沢森政忠)


 顧問

 沢森政種(父)

 

 大蔵省

 太田屋弥市

 

 陸軍省

 深作次郎兵衛兼続(兼第一即応旅団長)

 

 海軍省

 深沢義太夫(兼小佐々海軍艦隊司令)

 司法省

 佐志方杢兵衛(兼針尾・佐世保地区行政長官)

 

 外務省(旧外交方)

 沢森利三郎

 

 内務省 (旧内務・兵糧方)

 太田七郎左衛門

 

 文部省

 上泉喜兵衛延利

 

 工部省(旧殖産方)

 沢森忠右衛門

 

 農商務省(殖産方より分離)

 曽根九郎次郎定政

 

 情報省(国内・国外情報収集統括)

 藤原千方


 新しいメンバーは司法省の佐志方杢兵衛。


 領内統治の法整備をやってもらう。俺の考えを元に、政教分離とか信教の自由など。あとは身分に関係なく能力成果主義的な?


 名付けて『小佐々領内諸法度』。


 それからもう一人は、文部省の上泉喜兵衛延利。ピンと来た人は凄い! 以前奴隷売買の現場に居合わせた時に、一緒に助けた優男(悪口! ?)だ。


 彼にはあの後、諸国を回って戦乱による孤児などを保護する様に命じてきた。今では百人以上いる。子供は将来の国の宝なので、教育全般をやってもらう。


 最後は曽根九郎次郎定政。なんと、マツばあちゃんの推薦だ。


「ばあちゃん、誰かいい人いない? 野良仕事でも漁師でも木こりでも。顔がきくというか、つぶしがきくというか、詳しい人」


 それで推薦されたのが曽根九郎次郎定政だ。


 商家の三男で、その商家もばあちゃんが生まれるそのまた昔に、沢森から分家した家系らしい。すご。


「ではまず予算だが、大蔵大臣、どうだ?」


「は、まずは今年度でございますが、歳入は十六万五千百八貫を予定しております。そして来年度は塩・油・捕鯨・綿花・石けん・鉛筆等々、設備の増設状況が不明なので、高の増えた分と想定いたします」


 おおお! と全員がざわめく。一貫を二石で高に換算すれば、三十万石程度の金であろう。龍造寺家と同じ石高だ。


 しかし、すべての条件が同じでないと、単純比較はできない。


「なるほど。それで歳出はどうだ?」


「はい。本年度の設備投資が桑畑、綿花工場に二百貫、技術部門に二万四千貫、技術部は職人、人夫代も含んでおります。続いて軍需部門になりますが、兵卒の手当に陸海軍あわせて二万八千七百五十二貫、これはさきの戦の見舞金も含まれております。さらに、このままの生産量ですと鉄砲で一万八千貫、フランキ砲三千六百貫、艦船三万六千貫、鍛鉄砲一万六千六百三十三貫、合計十二万七千百八十五貫となり申す」


 座が静まり返る……。


「この他に外交特別費、情報保持管理費等が入りますので、決して潤沢ではありませぬ」


 さらに静まり返る。


「……あくまで概算であろうが、聞いてのとおり潤沢ではない。やはり開発技術費と軍事費に金がかかる。工部省と農商務省の予算は増やし、大砲に関してはフランキ砲の製造を順次鍛鉄砲にかえつつ、費用の削減を工部大臣は頼む」


「ははっ」

 

「兵の備えについては、陸軍大臣も海軍大臣も順次拡充で納得してくれ。特に海軍に関しては一年ではなく、複数年度にて艦船の建造計画を立てる、これでよいか?」


「かしこまりました」


「あの!」


 全員が発言の主を見る。


「斜身式大花楼機(しゃしんしきだいかろうき)という織り機の図面が手に入りました。完全ではありませんが、改良を加えれば品質、生産量の底上げになるかと。予算をお願いします!」


 さすが、曽根九郎次郎定政! ばあちゃんの推薦だけある。緊縮ムードでこの発言!


 でも、先行投資だからね。ありがとう!

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