第79話 数字は苦手なんだけどな、文系です。

 改めて、周辺の勢力図と領内の状況を分析する。


 言うまでもないが、最大の勢力は龍造寺だ。


 基肄郡、養父郡、三根郡、神埼郡、小城郡を治めて二十万石。それに加えて従属の江上氏が約九万石だ。


 次に有馬。衰えたとは言え、直轄地で六万七千石。


 親戚の大村氏は四万三千石で、対立している後藤氏は五万千石。後藤氏は、単独ならこの二家のひとつに匹敵する勢力だ。


 五島の宇久氏は四万一千石。波多は三万七千石で、五島を除く松浦郡では最有力となった。東肥前の神代と筑紫は三万三千石で拮抗している。


 松浦党の伊万里、志佐は二万石だ。


 伊佐早の西郷氏は一万五千石。爺様の相神浦松浦と同程度だ。小佐々は一万。


 沢森家は二万六千石。


 いつのまにか、小佐々どころか、爺様の石高まで抜いてしまった。


 ちょっとこれからは、細心の注意を払って、いろんなところに根回ししないといけない。


 次に収益。


 一番収益が多いのは、くじらだ。


 六組に増やしたので、月に約九千貫(約10億8千万)の利益がある。


 次は石けん。月に二千貫(約2億4千万)で塩が千七百貫(2億400万)、鉛筆と油あわせて九百貫(1億800万)だ。


 しいたけはまだ実験栽培中だし、サトウキビもまだだ。


 綿は十一月に入っての収穫となる。これら総合計から技術街の投資や、武器弾薬、足軽の給料などが引かれる見込みだ。


 手っ取り早く増やすならくじらなんだけど、頼りすぎるとまずいよね。


 酒、味噌、醤油。しいたけ十五貫で城が建つっていうけど、城もピンキリだしなあ。


 ガラスを使って注射器や顕微鏡までつくれんかな? あとサージカルルーペとか。温度計もね。


 あとは石炭。あ! そうだ松浦郡の沿岸村全域で探させよう! 


 それから、明から取り寄せる資料や文献になにか役立つもんないかな? 大砲でも石炭でも、なんでもいいや。


 そういえばうちの大砲って、後装砲と前装砲があるの、なんでだ? 青銅のフランキ砲は、後ろにはめるだけだから簡単だけど、飛距離が伸びないし時々暴発する。


 前装砲は装填時間はかかるけど、射程も長い。


 だけどものすごく高い! 


 それに、鉄をたたいて鍛えて貼り合わせているから、根本的な考え方が違う。~匁筒って、なんか聞いた事あるけど、鉄砲とは全く違う路線。


 フランキ砲はカートリッジみたいだけど、上が開いてるんだよね。後ろから装填って、書くけど。


 あれ、今の(前世の)大砲みたいに、後ろからできないのかな。薬莢? なんで? 今ないって事だよな。えーっと、あれっていつごろでてきた?


 西部劇には出てくるから、アメリカ独立戦争? 南北戦争のときにはあったって事? それでも二百年以上あとだな。


 普通の火薬つめたらダメなんだろうか? ……やってみる価値はあるか?


 やべ、頭痛くなってきた。忠右衛門の部門に丸投げしよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る