第103話 京都大使館の設立

今は1565年の永禄八年。

正親町天皇の時代だ。多分毛利元就や本願寺顕如が積極的に献金をして、自らの権威を引き上げている頃。確か、信長も1568?9?年に献金してるはず。上洛も、それ自体は意外と早かったと思う。そして父親の信秀もやってた。


そうだなー。五千貫ほどでいいか。適当に。官位が貰えればいいし、ただ、大友義鎮を刺激しない程度にしないとね。あー、幕府もたてんといかんから、朝廷に三千と幕府に二千でいいかな。


難しいところだよな。京都から遠いから、天下取りに積極的に使えるわけでもなし。(積極的に望まないけど)今のところは火の粉を払う一つの手段かな。


ただ、献金の際は、『ご用命くださいなんなりと』でいいけど、諸大名の危機感を煽る事にならない様にしないとね。名前は出さないで!って事で。


信長の中央への影響力を持たせなければ、本能寺が起きても母体が小さいなら問題なくね?という安易な考え。あの時点で三分の一?四分の一は支配してたと思う。変が起きて、急速に秀吉がデカくなった。そもそもが小さいならどうだ?


弱体化したとは言え三好がまだ存在してて、もしかすると勝頼もまだ生きているかもしれない。北条は放置するとして、反信長の一角である武田を支援して生かしておくのも手だな。いや、その路線真剣に考えないといけない。


生き延びるためには肥前や九州はもちろんだけど、その先を考えて、早め早めに手を打っておく必要がある。


そして、誰を大使にするかだけど・・・。情報収集で、非公式な組織だから、石宗衆の誰かで弁がたつ人間いるかな?


「千方、いるか?」


「はは」

気配がいきなり現れる。敵なら怖いけど、これぞ忍者!というイメージを持たせてくれる。毎回ビクッとするが、表には出さない。


「京に連絡所を置きたい。朝廷や幕府とつながりを持つために弁がたって、かつ、上方の情報収集が出来る者はいるか?ひと目につかぬ隠れ家が都合がいい。」


「そうですか。それでは・・・一人おりまする。女子ではございますが、情報収集に長けており、腕も立つのでうってつけかと。もう一人は石宗衆ではございませぬが、殿もよく知った御仁にて、安心できるかと。」


・・・・?誰だ?

「よし、ではその者達を後日連れて参れ」

「はは」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後


「殿、よろしいでしょうか。先日の二人、連れて参りました。」


「うむ。入れ。」


「ああ!!」×2

驚き倍増だ。


「叔父上!それにそなたは確か・・・・オン?いつぞやは世話になった。女子だったのか?今日はまったく雰囲気が前と違うぞ。」


「御役目によっては変装もいたします。」


「そうなのか!そして叔父上!どうしたのですか!てっきりあれからご病気で、寝たり起きたりの繰り返しだとばかり・・・。ろくに看病もできず申し訳なく思っておりました。・・・・・もしかして俺を謀っていたのですか?」


「謀るなどと!申し訳ございません。あれから自分に出来る事を探しておりました。敵を騙すにはまず味方から、と申します。」


そうだったのか!・・・まあ、確かに重要な役割だから、信用面ではうってつけだ。それから交渉事だが、別に和睦や同盟、諸々の条件をつきあわせる交渉など、朝廷や幕府とはないだろう。・・・いいかな。


「わかった。詳細は後ほど伝えるとしよう。それから叔父上、その様なかしこまった話し方は止めてくだされ。家族ではありませんか。」


「いえ、そうはいきませぬ。叔父、甥の間柄とて、君臣となりますれば。」


「わかった。千方、オン、少し外してくれるか?」


「はは」

二人は外す。


「叔父上!お元気になりましたね!顔色も良くなって!本当に一時はどうなるかと・・・。」


「ははは!心配かけたな!まあ、当主は面倒くさいって事で親父に言ったら、すんなり平九郎に決まったよ。いやあ気楽気楽!」


「え?」


「いや、うそうそ!でも家の役に立ちたいのは本当だ。任命してくれてありがとう。」


「そんな、頭を上げてください。」


「はは、やっぱりなんか調子くるうな。でも二人の時はこれでいいか!」


「はい!いつでも気楽に話せる叔父上でいてください。」


それからしばらく、和やかな雰囲気を過ごした。

殺伐としすぎだよ戦国時代。


・・・・ん?それにしてもあの二人、なんかいい感じ?だったか?気のせいか?


常陸介叔父上三十二歳。オン、推定二十八、九。


まさかね。

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