第十九篇 テーマ「4年に1度」 ジャンル「恋愛」
4年に1度、オリンピックが開催される。
私たちの出会いも、まさにオリンピックと同じくらい貴重なものだったのかもしれない。
私たちは高校生のときに出会った。
私は文化部の合唱部に所属していたし、彼は陸上部に所属していた。
ちょうどその年、私たちが在学していた高校では、オリンピックの聖火リレーに参加することになっていた。
私たちの高校がスタート地点だったのだ。
私は両手に聖火を持って走る選手たちを見て、感動していた。
そのとき、私たちの目が合ったんだ。
それから2年間、私たちは仲良くなった。
彼が陸上部の練習を終えた後、私たちは一緒に部室でお菓子を食べたり、宿題をしたりした。
彼と一緒にいると、時間があっという間に過ぎていく。
でも、私たちは恋人になることはなかった。
私が好きでも、彼は私を友達だとしか思っていなかった。
私は彼に告白することもできず、彼も私に好意を寄せることはなかった。
3年目に、私たちは大学受験のために別の高校に進学した。
私たちはそれぞれの進路を進んだけれど、彼のことはずっと忘れられなかった。
卒業式の日、私と彼は再び目が合った。私は涙を堪えて彼に手を振った。
それから4年が経った、オリンピックの開催年。
私はテレビで競技を見ていた。
そして、私たちは再び出会った。
私は観戦客として、彼はスタッフとして、それぞれ別々の場所で見つけた。
彼は元気いっぱいに、私に手を振ってくれた。
彼と目が合った瞬間、私は彼への想いを取り戻した。
私たちは長い時間をかけて、話し、笑い、過ごした。
結局、私たちは一緒になることはできなかった。彼には遠い未来に目標があり、私にもそれぞれの目標があった。
私たちは自分の道を進み、再び出会うことはないだろう。
でも、私たちの出会いはいつまでも私たちを支えてくれることだろう。
それは、私たちのオリンピックだった。
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