轟翔の口から語られる事件の真相!
轟翔が全てを諦めたように語り出す。
「俺は詳しくは知らなかったんだ。姉さんが誰にレイプされ孕まされて、階段から突き落とされたのか。両親の事も事故だと思っていたから。それに姉さんはそんな後ろめたいことを俺に話してくれなかった。いや、心配させたくなかったんだろうな。そんな俺がそのことを知ったのは姉さんと同じ高校を受験した日だ。走田が鶴田を呼び出して、金銭を巻き上げてたんだ」
2人のやりとりを思い出しながら語る轟翔。
『おい啓吾、今月の口止め料早く出せや』
『もう許してくれよ』
『何言ってんだよ。5年前のちょうど今頃だったっけ、久根峠下にある国道で、ひき逃げ事件起こしたのは、良いんだぜ俺は別に警察にタレコンでも』
スマホの画面を見せる走田。
『わかった。払うよ払うから。それだけは許してくれ』
『とっとと払えば良いんだよノロマが』
『走田だって、俺の父さんが愛神契約をした女をレイプして孕ませたじゃねぇか。そのことがバレても良いのかよ』
『あの女は最高だったな。だけど何を勘違いしたのか子供の認知なんて求めてきやがってよ。馬鹿がって話だよな。それにな、お前がやった殺人と比べんじゃねぇよ』
『お前俺に命令して、アイツを階段から突き落とさせたじゃねぇか』
『証拠あんのか?』
『・・・・・』
『ねぇんだろ。だったら俺はしらねぇな。お前が俺に忖度して勝手にやってくれたってことだよな』
『違う』
『違わねぇんだよノロマ』
『うううう』
『2度と逆らうんじゃねぇぞ。って言っても無理かお前殴られて興奮するもんな。ゲラゲラゲラ』
「倒れてる鶴田に唾を吐き捨てて走田は去ったんだ。その後、俺は鶴田に近づき、話を聞いてしまったが俺はアンタの味方だ。誰にも話したりしないと言い事の経緯を聞き出したんだ。聞こえた内容が俺の両親の事故と姉さんの転落事故に酷似してたからな。そして俺は、その日から久根峠にまつわる話を調べたんだ。そしたら、おあつらえ向きにいるじゃねぇか久根峠で行方不明になってるライダーがこれは使えると思ったね。俺は久根高校に入学すると同時に掲示板に書き込んだのさ。ペンネームを入れてわからないようにな」
「成程、楓から久根高校の掲示板に5年も経って大和のことが書かれてるって聞いて、どういうことだろうと思ったがそういうことだったのか。あっすまねぇ話の端を折って続けてくれ」
山波さんは咳払いをして轟翔に続きを促す。
「俺は掲示板に書いた首なしライダーの話をそれとなく鶴田に教えた。そしてこう耳打ちしてやった。これを利用して走田を久根峠に誘い込めば首なしライダーが殺してくれたりしてなってな。そしたらアイツ面白いように噂話として友達に話してやがんの。走田の耳に入るようにしてよ。こんなにも簡単に罠にかかってくれんだから笑うしかなかったぜ」
「そして貴方は、走田のバイクのブレーキとアクセルに細工をして、高強度のピアノ線。それと強アルカリ性の薬品を手に入れたんですね」
「あぁ、刑事さん、アンタ本当に賢いな。その通りだ。俺は走田のバイクのブレーキの方には絶対に効かないように、そしてアクセルの方には勝手にどんどん速度が上がるように細工した。そして、ゴールテープのように木と木の間にくくりつけてやったのさ。見事にどんどんと速度の上がる走田の乗せたバイクがゴールテープのピアノ線にぶつかり首が飛んだのさ。その首を強アルカリ性の薬品でドロドロに溶かして、ピアノ線を回収して、何食わぬ顔で柴さんに合流したのさ」
「私が久根高校に書き込みに現れ、確信に迫ることを恐れた貴方は、私の家にも現れましたね」
「ククク。失禁する刑事さんは傑作だったぜ。だがあれどうやったかわかるか」
「簡単です。あの日私は不用心にも酔っていてベランダを開けたまま寝ていたってオチですよね」
「あぁ、ホントワキの甘い刑事だから迫られる心配はないと思って、殺すのをやめて警告だけにしたんだけどな。ミスしたと思ってるよ。あの時殺しとけば、良かったってな。3人殺すつもりだったから俺の死刑は、ほぼ決まってたわけだから、1人増えようが気にする必要はなかったんだ」
「貴方は部屋の中に入り、ベッドの下の強力磁石を使ってベッドをベランダ側に移動させたんですよね」
「私の金縛りは想定外で、その後の失禁も想定外で、磁石の回収を忘れていましたが、その磁石からも貴方の指紋が出るんじゃないですか?」
「いや黒手袋つけてたから付いてないと思うぜ。そこは気を使ったからな」
「そうですか。次に殺したのは、鶴田啓吾ですね」
「あぁ、アイツビビって警察に駆け込んだらしいから焦ったんだけどよ。俺のこと言わずに掲示板の話だけするとか馬鹿なやつだよな。まぁそのおかげで違法ドラッグ所持で逮捕だったんだっけ?でも、消化不十分ですぐ釈放。帰ってきたアイツの首をチェーンソーで裁断して、強アルカリ性の薬品でドロドロに溶かす。鶴田啓一が夜遅くまで帰って来ねぇのは、知ってたからな。帰ってきたらすぐに拘束して仕上げを行ったんだよ。といっても女と一緒だったみたいで朝帰りだったけどな」
悪びれもせず淡々と話す轟翔に戦慄を覚えるが最後の謎についても答えてもらわなければならない。
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