第42話 胸に秘めた思いに気付く。
「
「えっ、戦犯探しってなんの」
「
「でも…そんなの私知らない…その…圭の勘違いとかじゃ…」
口を挟みかけた
「うん。そうかもなぁ。ただ、ブロックされた。ほぼ全員に」
「ブロック⁉ 圭、それってラインを? 全員てサッカー部全員⁉」
「全員じゃない、ほぼだ、ほぼ」
「なんで言ってくれなかったの、そしたら私から――」
「口挟んでごめん。吉沢。それ無理だわ、きっとそれ知ったらあんた頭に血がのぼっってたでしょ。そしたら川守圭の仕事が増える、頭を下げたくない人間にまで頭下げないとでしょ。吉沢のために。何よりどうでもよくなったんじゃない、そいつらの事。川守圭もさ、言ってくれたらいいじゃん『ブロックされた~』なんて嘆いてないでさ!
圭は捨て猫のように神経質な視線でピリピリした
「
「圭。
「そうね。ホントお姉ちゃんなんて損な役回りよ、わかった。いいよ、お姉ちゃんなんだし? 小林さんの手前許す。はいはい、水に流そうじゃないですか! でも、この圭の引退試合終わったら圭のユニは私貰うから。その権利はあるはずよね、圭?」
「別にいいけど、汗かくから嗅ぐなよ?」
「女子か! 嗅ぐに決まってるじゃない。多数決取ろうか? バレなきゃ、嗅ぐはずよ。少なくともカルロスは嗅ぐ! それはさて置き、少し機嫌なおしたげる。あとあのクルクル回るのやって」
「クルクル回るのって…えっ!? いや、オレブランク半端ねぇんですけど? 丸1年サッカーやってないんだが? もう、
雨音は「わかったわかった、そうやってやる前から予防線を張ってさ、情けない子だねぇ」とお姉ちゃんモードからの耳元でささやく。
(圭。もし『クルクル』でゴール決めれたらさ)
(決めれたら?)
(愛してあげてもいいよ)
(愛してあげる? いや、めっちゃ上からなんだけど?)
(なに? 自信ないの? それともアレか。失敗したとき「オレ別に
こうして圭は
(圭ちゃんに区切りが必要なのはわかる。わかるけど、それってどうしても今日なのかなぁ…圭ちゃん私の看病とか、ここまでくる移動で疲れてるハズだし…でも言えない。止めるなんて出来ない。やめてなんて言えない。見守るしかできない…)
(何気に私、誤爆された気がする……)
カルロスこと神崎
(そりゃ、嗅ぎますよ、そこに脱ぎたてのユニがあるのなら)
否定する気などまったくないカルロスだった。
***
「吉沢。私の中の川守圭のプレースタイルは小学時代のクラブチームのまんまなんだけど」
「んん……基本大きく変わってないです。攻撃的な場所ならたいがい
「利き足、どっちだっけ? どっちでも打てるイメージしかないんだけど」
「基本右です。でも、どっちでも打てます、圭なんで」
(うわぁ……なにこの全幅の信頼感。私に対してないやつだ。いや、吉沢って私のこと川守圭と比べてるからなの? 突っかかってくるのは? なんだ、それじゃこの試合で川守圭よか目立ったら、私のが上だって証明できんじゃん! ふふっ、この試合で吉沢ワンコの信頼を勝ち取るわよ!)
小林
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