第63話 オフ会へゴー 2
「わぁ、すごいっ。はいろ、ユウト」
俺と早川はオフ会の会場の前まで来ていた。
ビルの中の、お洒落な雰囲気の居酒屋を貸しきっているようだ。
エレベーターを出てすぐに、受付のような場所。俺たちは、ネットで事前に参加費を支払い済みなので、アプリでバーコードだけ表示して受付の人に読み取ってもらう。
受付で、チラシのようなものを受け取り、そのまま説明を受ける。ライバーのオフ会で、未成年の参加者も多いので、中で提供している飲み物は、すべてノンアルコールになること。
飲み物や、中で販売しているグッズの支払いはQRコード決済のみなど、簡単なものだ。
「この案内、可愛いねユウト。ジョゼ三世さんのデフォルメイラスト入りだよ!」
「ああ。なあ、グッズ販売とかもしてるみたいだけど、オフ会ってこんな感じなのか?」
「うーん。色々じゃないかなー。本当に集まってご飯食べるだけってところもあるだろうし。たぶん、ジョゼ三世さんのところは、運営がしっかりしてる感じだよね!」
会場に入る。
すごい人の数だ。
奥の方に人が集まっている。たぶんグッズを売っているところだろう。
「ねえねえ。せっかくだしこのオリジナルノンアルカクテルって頼んでみない? 名前が全部ジョゼ三世さんにちなんでるよ、これ」
案内のチラシの裏に載っているメニュー表を見ながら告げる早川。
どれも、なかなかのお値段だ。
俺は一瞬迷うも、クロからQRコード決済用の口座に入金してあると言われた事を思い出す。
それをクロから言われた時には本当に驚いた。いったい何処からのお金なのかと聞いたら、クロがマイニングしたと言っていた。そんなことまで出来るのかと。
しかも、税金の処理までしてます、と追い討ちをかけるようにクロが言っていて、本当に感心してしまった。
──クロ、使わせていただきます。
俺はクロに感謝しながら、メニューから飲み物を注文する。
早川は「ジョゼ三世スペシャル」、俺は「深夜ライブ」という名前のノンアルカクテルにした。
一口、飲む。爽やかなオレンジベースの炭酸に、後味がミント風だ。名前が変な割には美味しかった。
「ユウトのも一口ちょうだい! はいこれ」
早川が自分のコップを差し出してくる。交換するように俺は自分のコップを早川に渡してしまう。
「え、ああ」
「あー。こっちの方が美味しいかも。残念」
そういって一口以上飲んだ俺の「深夜ライブ」を返してくる早川。
「飲まないの?」
早川の質問に、俺もそっと早川のコップに口をつける。
なんだか、味が良くわからなかった。
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