第10話 爆誕 魔法剣士

【とあるSNSサイト】


 回下印焔@KaikainHO・57分…

 |あれ。今日はタロマロさん見てないんすかね

 |ゆうちゃんねるの動画がアップされているのに

 |

 |ぜひ、解析した結果、タロマロさんにも見てほしかったなー

 ||д゜)チラッ

 |

 |@tar0mar0

 |◯1 ⇔2 ☆13

 |

 タロマロ@tar0mar0・30分…

 |すまん、野暮用でな

 |というかなぜ俺がいつも張り付いていると思うのか

 |そこが、おおいに不思議なんだが

 |

 |◯1 ⇔1 ☆3

 |

 回下印焔@KaikainHO・29分…

 |ちっすちっす

 |待ってたっす

 |早速ですが動画、見てくださいよー

 |パクックマさんが

 |何で何を切ってるかわかります?

 |

 |◯1 ⇔9 ☆86

 |

 タロマロ@tar0mar0・25分…

 |今回は地下か。

 |丸めた新聞紙と、……この影、レイス系モンスか、こいつ!

 |

 |おいおいおい、レイス系は物理攻撃、無効だぞ

 |しかもなんで新聞紙で一撃なんだっ!

 |

 |◯1 ⇔25 ☆369

 |

 回下印焔@KaikainHO・23分…

 |そうなんすよー

 |ちな、新聞紙ソードらしいっすよ?

 |

 |で、レイス系は魔法攻撃じゃないと

 |ダメが通らないはずっすよね

 |

 |◯1 ⇔2 ☆3

 |

 タロマロ@tar0mar0・20分…

 |そうだ。そのせいでいくつものパーティーで

 |死傷者が出てるぐらいだ

 |魔素で攻撃する魔法スキルは本当に希少だからな

 |

 |

 |◯1 ⇔2 ☆10

 |

 回下印焔@KaikainHO・19分…

 |で、次は解析動画っす

 |DMで送るんで、ちょっと解放してくれます?

 |

 |

 |◯1 ⇔1 ☆5

 |

 タロマロ@tar0mar0・13分…

 |受け取った。

 |見ているが、スペクトル分析か?

 |

 |◯1 ⇔1 ☆5

 |

 回下印焔@KaikainHO・10分…

 |詳しいっすね、タロマロさん!

 |そっすそっす

 |

 |◯1 ⇔2 ☆10

 |

 タロマロ@tar0mar0・9分…

 |これは、魔法?

 |いや、違うな

 |新聞紙ソードを攻撃性の魔素が覆っている??

 |──もしかして、だが、魔法剣、なのか

 |だが、魔法剣士なんて、存在するはずという仮説、だけだろ

 |実在は確認されてない

 |◯1 ⇔25 ☆109

 |

 回下印焔@KaikainHO・5分…

 |やっぱ、そう見えますよね!

 |

 |どうやらパクックマさんが、

 |世界で最初かもっすねー

 |

 |魔法剣士パクックマ?

 |

 |◯1 ⇔333 ☆1080

 |


 ◇◆


 ネット上で変なあだ名が拡散されていたことなど知らぬまま、俺は叫ぶ。


「片付けまで、全部終わったーっ!!」


 俺は大きく万歳をする。自転車の修理をすませ、道具の片付けと潰した虫たちの処分をようやくすべて終えたのだ。


「クロも、お手伝いありがとう」

「どういたしまして」


 なんと今回はクロが片付けの手伝いまでしてくれた。俺が自転車を修理している間はいなくなっていたが、片付けのタイミングで戻ってきてくれたのだ。


 どうやらクロの機体の下部には簡易的なアームが収納されていたらしい。

 そのアームの見た目はゲームセンターのUFOキャッチャーのものに似ていた。


 クロはそのアームで細々とした荷物を運ぶのを手伝ってくれたのだ。重いものは当然無理のようだがそれでもとても助かった。


「アーム、便利だね」

「お役にたちましたか」

「たった、たった。クロがいなかったら今日は夕飯準備できなくて、抜きだったかも」

「それは、何よりです。それと、その残骸の一部をまた、いただけませんか?」

「いいけど? どうするのそれ」

「進化律の上昇に寄与します」


 俺はクロの最後の言葉がよく理解できなかった。ただ、そこで俺の腹の音が盛大に鳴る。


 こちとら成長期だ。空腹が、なによりも最優先だ。


 そのため、俺はクロの意味不明のフレーズを問いただすことなく、スルーしてしまう。


 ただ、もしもここで俺がクロを問いただしていれば、色々と判明したかもしれない。俺の自宅の特異性。そしてクロのAIの驚異さ加減についても。


 しかしそれは仮定の話。

 俺はのほほんと、夕飯の準備にとりかかるのだった。


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