第295話 スパゲティーは、いつしかパスタに

スパゲッティ = パスタ


そんな公式が身体に身についたのは、大学に入って後のこと。

それまでは、こう。


スパゲッティ = 食事のおかず


自由の森にいた頃の感覚ではこう。

月に何度かの間隔で、確かに、出てきました。

主として、ナポリタン。

これ、おかずにしては存在感があったのね。

大学に入って自由の森を出たら、そのうち、こんなことに。


スパゲッティ、スパゲティー

まあ、表現は何でもええわ、この際。

これが軽食とは言えひとつの食事になることを知ったら最後。

ある店では、いつも、


イタリアンスパゲティー

ミートスパゲティー


この二つが並んで、メニューにあった。

その店に行ったら必ず、そのどちらかを選んでいた。もちろん大盛よ。

そこのママさんには、スパゲティーしか食べない青年に思われていたっけ。


いえいえ、カレーなんかよく食べるし、酒も飲みまっせ。

とは言うものの、やっぱり私は、そのスパゲティーの大盛しか食べない学生ということで、イメージが固定されていました。

後に大学を出てしばらくした頃、居酒屋でもお会いしたけど、意外な目で見られていたことは言うまでもありません。


わしゃ、スパゲティー男か?


人間って、ある局面が簡単にデフォルメされてイメージになるってことを知った、

窓ガラスという大学街の喫茶店の思い出。

今はもうその店はないけど、その建物は今もあります。

あ、その名前、小説の舞台に使っています。~わっはっは


そしていつしか、スパゲティーなんて表現はめったに見なくなった。

その代わり、パスタって言葉をよく目にするようになったね。

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