第294話 なぜか、教科書がなくなった

あれは、小学校の4年生の今頃だったか。


なぜか、算数の4年下の教科書がなくなった。

ついでに、短期里親の家でいただいた本もなくなった。


わからぬまま、それっきり。

とにかく、その年度末まで、ないままで何とか乗り切った。

と言えば聞こえはいいが、今もって不愉快だ。

担当保母は、さじを投げた感じだったな。

彼女はなぜそんな態度に出ていたのか。


ま、答えはわかっているよ。

わしが「子どもらしくなかった」から。

あれは昭和55年の年明けから3月まで。

こんな体制もどうせ長くは続かないことはわかっていた。

だから、3カ月くらいは耐えられた。


3月も終わる頃には、部屋替えとやらでガラガラポン。

ってね。

その担当保母、勤めて3年目だったが、その年度末で辞めていった。

結婚前の職場で、そんな思い出もあったわね、

ってか?

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