第291話 いこいの部屋

 これはまだ、自由の森が住宅地にあった頃のこと。移転する前の話だ。

 毎週1回、担当保母をあてがい、そこに、小学生と中学生(もいたと思う)のいろいろな部屋の子を集めて一晩そこで過ごさせる。

 名付けて「いこいの部屋」という企画がされた。


 あれは確か、昭和54年と55年の2年間だけ、あったっけな。

 1979年と1980年。


 要は、いつも同じ部屋の同じ子らといさせても飽きるだろうから、ってことなのかなと思うのよね。

 退屈させまいと、かれこれ手を打つことがこの施設の手口だったからな。

 ただあれは、男子児童だけだったと思うぜ。

 なぜ、あんな企画ができたのかは、今もって不明。


 とりあえず、指名された子はその場所に行って集められたみんなと何かして、それで一晩過ごし、朝起きてからは部屋に戻ってまた学校に行くだけ。

 そんなことのどこがいこいなのかさっぱりわからんが、小学校長あがりのじいさん園長あたりには、斬新な企画に見えたのだろうか。


 そんなことでも企画しないと子どもたちをマンネリから救えないとしたら、それはもう本体自体に問題があったとしか言いようがなかろう。

ってか?

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