第140話 ちょっと遅いけど、盆踊り

 自由の森の、盆踊り。

 特に女の子は、浴衣を着て出てきます。

 管理棟前の園庭で、提灯を並べて、それらしい雰囲気に。

 事務所入口前にカセットテープ一式仕掛け、

 炭坑節とか、備前なのに備中松山踊りとか、

 なぜか知らんが瀬戸大橋音頭とか。

 見れば鮮魚もとい千魚、渡れば万魚、

 これぞ日本の、瀬戸大橋!なのですぞ。

 まだ、瀬戸大橋が開通していなかった頃。

 宇野-高松間は宇高連絡船が就航していた。


 こういう行事、園内の行事としては、

 瀬戸大橋開通後、がくんと減りました。

 戦後40年弱勤めたベテラン保母さんが、

 こんな行事を年中張切ってやっていたけど、

 どうせ地域もでやるし、度々手間なだけだし、

 何も内輪でのべつ行事等やることもなかろうと、

 彼女の退職後、徐々に全体での行事は減りました。

 瀬戸大橋の開通は、対四国の輸送量を倍増させ、

 人や物の行き来を、一気に底上げしたのです。

 

 今や作家のプリキュア御意見番おじさんいわく、

 瀬戸大橋、ああ、あの人魚除けね。

 連絡船沈没犯は、としまえんのオバハン人魚やがな!

 などと言っていると、人魚の国の女王様がお怒りの模様。

 押しかけアシスタント?!のメルジーヌさんいわく、

 アル中のおっさん! 誰がとしまえんのオバハン人魚や!

 人魚は国鉄連絡船を沈めておらんわよ!

・・・、ってね。

 

 瀬戸大橋に少し先だって、青函トンネルもできました。

 国鉄改めJRの連絡船は、宮島航路だけとなりました。

 連絡船の衰退とともに、自由の森でのみんなこぞっての行事は、

 時が経つにつれ、どんどん、なくなっていきました。

 海は船ではなく、橋を渡るか海底トンネルをくぐるのねん。

 行事と銘打って、みんな集まればいいってものじゃない!

 国鉄・JRの団体旅行最低人数は、ぐんと少なくなった。


 これも、み~んな、時代の流れ・・・、ってね。

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