第11話 クール系とおてんば系
「いやーあんなに喋らなかったるなちゃんが、初めましての相手にこんなに喋るなんてねー。1人でも喋れる子がいて良かったよ。ほんと感謝してる」
神崎さんはとても安心したような様子で僕にお礼を言ってきた。
偶然朝ご飯を食べ終えたるなちゃんが、僕の部屋の前を通って、その時に僕が心配している声を出していたのを聞かれたってだけなんだけどなぁ。
「いえいえ、気にしないでください。たとえ僕が1歩踏み出す手伝いをしたとしても、僕が話しかけた時に話してくれたのは るなちゃんですから、るなちゃんも頑張ったんですよ?」
そう言った瞬間、神崎さんの目がキラリと光ったように見えた。
「そうね! 偉いねー! よしよーし」
そう言いながら神崎さんは、るなちゃんの頭を撫でた。
「やめ......やめて......」
「満更でもないくせにー!」
「べ......別に...そんな......こと......ない」
僕は神崎さんとるなちゃんのやり取りを見つつ思う。るなちゃんは意外とシャイなのかもな。満更でもなさそうだし。
「あっ! そういえば私の名前まだ知らないよね?」
確かにまだ苗字しか知らないな。
「そうですね。苗字しか知らないです」
「じゃあ改めて自己紹介を。 私の名前は神崎雪希子。一応クール系で売ってるからその時はよろしくねー!」
「クール系? おてんば系じゃなくてですか?」
「クール系だよ。 おてんば系なら横にいるじゃない」
冷徹な雰囲気を出しながら落ち着いた声で喋る神崎さん。純粋に凄いな、雰囲気違いすぎて風邪ひきそう。
「急にクール感出してくるのやめてください。今更感凄いです。あと違和感しかありません」
「じゃあこっちに戻す? まあこっちの方が気楽で良いんだけどね〜」
「神崎さんも素をもっと出したらどうです?
患者さんにもこっちの神崎さん見せてあげたらいいんじゃないですか?」
「静華さん! 私の事は雪希子でいいよ!」
距離の詰め方凄すぎない? 新幹線で一気に行っちゃうタイプだ。それに問に対して答えてないし。
「......あ、分かった。これからは雪希子って呼ぶね!」
対応能力高。
「素を見せるのはちょっと怖いかなぁー。友達とか家族ならまだしも、患者さんとなると贔屓してる! とか思われそうだし」
「それはそうねー 患者さんは平等に扱わないとそういう事になりかねない」
ん......? 僕に対してかなり贔屓っぽい事してるような......。
「ちょっとここら辺でやめときましょうか。せっかくの楽しい昼食が、日頃の愚痴大会みたいになっちゃうから。あっ...今度看護師だけの女子会開くから、静華さんも呼ぶね!」
「ありがとう! 楽しみにしとく! じゃあ早速話を戻して......ってなんだっけ?」
覚えてないんかい。
「クール......系......おてんば...系」
「あっ! そうだったそうだった」
皆もうご飯は食べ終わっていたが話が続く。休憩室に行ってくつろぎながら話した方がいいんじゃないか? とも思ったが、みんな楽しそうだったので言うのはやめて、僕も話に加わる事にした。
「それは無いでしょ!」
「私も......無いと......思う」
「えー! そうかなぁ? おてんばって結構グループに2人は必要だと思うんだけど...ねえ奏汰くんはどう思う?」
「2人はいらないかなぁ」
「えぇ!」
「ほらぁ」
「ね...奏汰も......こっち...側」
「一応3対1ねー」
「奏汰くん。一応理由を聞いても?」
「えっと......そうですね。2人はうるさすぎるかなと」
「あは! なにそれ!」
「あははは! 確かに騒がしそうではあるけど!」
「それは...っふ...予想外......の答え」
「そんな的外れな答えでした?!」
「っふ......あはは」
「「「!?」」」
3人揃って顔を合わせ、るなちゃんの方を一斉に見た。
「え......? なに...」
「笑ったよね!」
「笑いましたね!」
「まさかるなちゃんが笑うとは。るなちゃんにとって、よっぽど面白かったんだろうね!」
「るなちゃんにとって? ...てことはあんまり面白くなかった? .......いやそもそも笑い狙いで言ったわけじゃないんですけどね!?」
それからは、それはもう楽しいお昼ご飯タイムを過ごし僕達は休憩室に移動した。
──────────01︰24
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あとがきです。
どうもこんばんにちは、まどうふです。
本当の看護師さんも苦労が絶えないんだろうな。 とか思いながら書いていました。大変そうですよね、今の時期は特にですけど。
良ければ応援とフォロー、☆のほど
よろしくお願いします!
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