第10話 天使と昼食
天使のような笑顔に魅せられた僕は、その場で固まってしまっていた。
「おーい奏汰くーん。おーいってば、どうしたのー」
「あ......すいません。なんでもないです」
「それなら良かった! ......っていうかなんで3人で会話してるの!? 私も入れてよ...」
そんなに話したかったのか少し悲しそうな表情をする静華さん。
「ごめんごめん、話しておきたい事だったからさ」
「...まあ、いいや! 次からは私も話に入れてもらうから!」
「言われなくてもそうするよ」
後々めんどくさくなりそうだしな。っていうか会話に入ろうと思えばいつでも入れただろうに。
「...あれ? なんか人がいっぱい来るね」
「あ! もうお昼ご飯の時間じゃん」
「だからかー 火事とかでこっちに寄ってきてるんじゃないかと思っちゃったよ」
「さすがにそれは無いでしょ」
「まあね〜そうそう無いよねー」
会話の雰囲気が一気に変わった。
「で、どうする? 奏汰くん。食堂にご飯取りに行って部屋で食べる? それとも食堂でそのまま食べる?」
「あー...どうしようかな」
「......あの」
「...ん? どうしたのるなちゃん」
「あっ......奏汰...あの...ね......ご飯......一緒に食べ...ない......?」
「えっ!」
「っ!!」
「「るなちゃんが......ご飯に誘った!!」」
「あのるなちゃんがご飯を一緒に食べようなんて......成長だなぁ...」
感動している静華さん。
「灰羽さんだけかもしれないけどね」
「まあ......」
「「それはそれで良い!」」
「2人......うるさい...」
少し照れる様子をみせながら、るなちゃんは2人を静める。
「あっ...ごめん」
「ごめんね〜」
「......私...奏汰...と......話してみたい......だから...」
「僕もるなちゃんともっと話してみたいし
一緒に食べよ!」
「......ありがと」
そう言うと、るなちゃんは椅子から立ち上がり僕と静華さんを見て、神崎さんと一緒に食堂へと歩き出した。
「静華さん、お願いしてもいいですか?」
「おっ! 分かったー! やっと頼れるようになったのかな?」
「僕もさすがに頼りますよ。ゲームの最中は特にね」
「ゲームが終わっても頼ってね!」
「必要な時があれば頼らせていただきます」
「いつでも待ってるから!」
そんな会話をしながら神崎さんとるなちゃんの後を追い、食堂についた。と言っても隣に移動するだけだけどね。
「じゃあ一緒に行こっか」
「はい!」
奏汰と静華さんは食膳を配っている所に並び、病院食をもらい、るなちゃんと神崎さんのいる席を探す。
「静華さーん! 灰羽さーん! ほら、るなちゃんも!」
「こっ......こっち......!」
2人は大きく手を振ってくれていた。そのおかげで見つける事が出来た。
るなちゃんは少し恥ずかしそうだったけどね。
僕と静華さんは4人席の隣同士に座った。
僕は車椅子だが。
「よいしょ。それじゃあ食べましょうか」
「うん...」
「はい!」
「じゃあせーの...」
「「「「いただきます!」」」」
今日のお昼ご飯は、ご飯、鮭の西京焼きに、筑前煮。そしてヨーグルトだ。
魚介類は好きなので結構嬉しい。
早速鮭を食べると、同時にるなちゃんも鮭を食べていた様で。
「2人とも綺麗取って食べるね」
「確かに...小学4年生と小学3年生には見えない」
「そうですか?」
「別に......普通だと......思う」
「2人にしたらそんなものなのか」
「最近の子は凄いですね〜」
「というかるなちゃん!」
「はっ......はい...」
「さっきの会話で気づいたんだけど結構喋れるようになってない?」
「僕達に慣れてきたって事ですかね?」
「いや......まだ......」
「もしかしたらなんだけどさ、るなちゃんって極度の恥ずかしがり屋さんなんじゃない?」
「まあ、極度の恥ずかしがり屋と極度の人見知りは精神病の派生みたいなもんだからね〜」
「それにしては喋るよねー♪ 奏汰くんとはさっき会ったばっかりなのに!」
「いやーあんなに喋らなかったるなちゃんが、初めましての相手にこんなに喋るなんてねー。1人でも喋れる子がいて良かったよ」
ホッとした様子で神崎さんは言う。
今までは喋れなかったか、避けられてたのか。
悲しいな、るなちゃんといたら入院生活もっと楽しくなりそうなのに。
「それに関しては、ほんと偶然としか言いようが無いですけどね」
「それでも感謝してるよ! 最初の1歩を導いてくれたんだから」
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あとがきです。
どうもこんばんにちは、まどうふです。
色々迷ってこんな感じになりましたが、いかがでしょうか。
良ければ応援とフォロー、☆のほど、よろしくお願いします!
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