別日⑯ 1人で悩まないで
妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。
妖精なので、ほとんどの人間には見えない。
ぺぺがコマさんの所で遊んでいると、神様が現れた。
そしてやって来た男の子をじっと見ていた。
「神様、珍しいね。コマさんの所までくるなんて」
ぺぺが話しかけると、
「この子を見に来たんだよ」
と言って男の子の後をついて行く。男の子と言えば元気がない。下をずっと見ている。
「どうかしたの? 元気ないね」
すると神様は男の子に寄り添いながらぺぺに答えた。
「この子は学校で嫌なことがあってね。それからどうも悪い方に考えるようになってしまっているみたいなんだよ」
神様の話によると、守護している者達が心配して先回りをして神様にどうにかしてもらえないかとお願いをしてきたようだ。
「この年の子達は一人で抱え込む子が多いからね。守護している者達は心配でしょうがないんだよ。どうにか助けてあげたくて男の子を
男の子は本殿に来るが、手を合わせることはせず、近くのベンチに腰を下ろしてぼーっとしていた。
神様はなぜかその場からいなくなった。どこへ行ったのかとぺぺが思っていると、そこへ住職さんがやって来て、男の子に気付くと話かけた。
「どうしました? 元気ないね」
最初は男の子は警戒して話さなかったが、住職さんが根気よく話しかけていると、そのうちに男の子は学校の話をし始めたようだ。
すると、神様がぺぺの横に現れた。
神様が住職さんを男の子のところに行かせたようだ。
男の子は住職さんに話しをして少しは心が晴れたようだ。そして住職さんに言われたのだろう、本殿で手を合わせていた。
「やはり最後は人の言葉や思いが人の心を動かすからね」
神様は微笑む。
男の子は住職さんに御守りをもらったようで、大事に学生鞄に付けた。
神様はその御守りに男の子が芯の強さ、自信が持てるように御神気を入れる。
「強い心を持ち、前を向いて歩んでいってもらいたいのう」
ぺぺもうんうんと頷く。
男の子が鳥居を出るまで神様は見送っていた。男の子の後ろには守護霊達が神様に頭を下げていたのが印象的だったなーと思うぺぺだった。
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