240523-1
【2024年5月23日】
「これ、藍ちゃんが好きそうだと思って」
東京(正確には千葉だけれど)のランド、大阪のスタジオに次ぐ愛知の大型テーマパークを楽しみ、ホテルへと戻るとクラスメイトや他クラスの生徒が口を揃えてそう告げて私たちの部屋に藍への献上品を置いて去って行った。
「まるで富豪ね」
「えへへ〜」
口元をこれ以上ないくらいに緩めて微笑む藍の前にあるテーブル上には、最近国内外で舞台が行われているお風呂屋を舞台にしたアニメ映画に登場するキャラクターが持つ指輪のレプリカや、動く城が登場するアニメ映画の主人公役を務めた彩香さん以上に国民的人気のある男性アイドルが声を当てたキャラクターの持つ指輪のレプリカなど、女子高生というよりは女児の方が喜びそうなキラキラと輝く財宝のレプリカが山のように積まれていた。
「それよりも……」
私は偽物の財宝ではなく、藍の腕に抱えられたソレに視線を向けた。
「そのクッションはどうやって持ち帰るつもりでいるのかしら?」
「へへっ、へへへ」
「笑って誤魔化さないで」
ため息さえも出ないほど呆れ果てる私の気持ちなんてわかってはもらえていないのだろう、藍はコンビニのクジで当て(てしまっ)た横幅50センチメートル程度のカツサンドのクッションを胸元に抱き寄せながらニコニコと笑っていた。
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