240522-1

【2024年5月22日】



「これが、グレートバリアリーフ……」


「をモチーフとした水槽な」


 せっかくだからそういうことにしておいて欲しいというのに、楯はわざわざ余計なことを言ってきた。


「私はひとりでも十分楽しめるから楯も三景くんと那月、藍と響子みたいに別れて楽しんでくれば?」


「そうは言われても、ブレーキ役がいないと何時間でも居座るだろう。それに」


「それに、何?」


「俺は水族館にいる時に年相応の表情を見せる千花のことが好きなのだが」


「そう言うのであれば、見せてあげても良いけれど」


「それじゃあ、遠慮なく見させてもらうよ」


 そう言って、伸ばしてきた楯の左手を私は強く握り返した。

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