第8話 バズり中
地響きとともにダンジョンは消滅した。
私たちは地上に戻る。
「すごいです! 本当に30分かかってないですね!」
「バイクだからね」
そういえば能力を取得していたな。
どんな力か見てみよう。
○白馬モード
見た目だけリアルな白い馬になれる。
おおお。
なんともざっくりな能力だな。
「
ええええええええ!?
「馬の顔がついたバイクでダンジョンを駆け抜けただけなんだけどな」
「ははは。バズっちゃいましたね。この勢いなら100万再生も余裕です」
うう……。
めちゃくちゃ目立つなぁ……。
「この馬さんバイクで街中を走っていると直ぐにバレそうですね」
「確かに……」
バイクモードだと直ぐにダンジョンライダーだとバレちゃうな。
あ、そうか。
「新しい能力を使えばいいんだ!」
よし。
「バゴーザー! 白馬モード!」
「ウマ!」
シュゥウウウウン!!
おお!
馬の姿になった!
白馬なんてかっこいい!!
能力では見た目だけって書いてたけど……。
コンコン。
表面硬っ!
石像には変わりないのか。
あくまでもカモフラージュ的なもんなんだな。
「流石ですわ! これならバレませんわね!」
「よし。うんじゃあ白馬に乗って家に帰ろっか。母さんに報告したいしね」
「え?
「あはは。まぁ、色々とね。見た方が早いよ。乗って」
「は、はぁ……?」
私たちは白馬に乗って家に帰った。
地下室。
『あら、可愛いお友達ね』
「ひゃぁああああああ……! ゆ、ゆ、ゆ、幽霊……。ガクガク」
まぁそうなるよね。
私は、ことの経緯をウロちゃんに話した。
地下室にいる母さんが残留魔力体であること。私の生活費が必要なこと。全て伝える。
「──そういうわけで、バゴーザーでダンジョン探索をすることになったんだよ」
「まぁ……。でしたら幽霊ではありませんのね」
「うん。母さんの記憶を引き継いでるから、母さんそのものだよ」
ウロちゃんは地面に座って両手をついた。
「お母様。
……なんか、彼氏が彼女を連れてきたみたいになってるよね。
「まぁ、丁寧な子ね! こちらこそよろしくね。じゃあ、ウロちゃんって呼ばせてもらうわね」
「はい。ありがとうございます。
安定した将来って、配信のことだよね?
「あ、そうそう。なんか初めての配信が調子よくてね。驚いてる」
「ふふふ。生配信見てたわよ。大活躍だったわね。お母さん興奮しちゃった」
「なんだ見てたんだ」
「投げ銭機能は使っているかしら?」
「なにそれ?」
「再生回数によって広告がついてね。視聴料がもらえるんだけど、振り込まれるのが来月になるのよ。その点、投げ銭は即時振込みだからその日にお金が使えるのよね」
「おお! いいね!」
調べると、このサイトではウルトラチャットと呼ばれていた。略称ウルチャである。
「んじゃあ、ガッツリ配信頑張ろうっと! お金が貰えたらウロちゃんにもバイト代が払えるしね!」
「わ、
「ははは」
ウロちゃんは遠慮しいだな。そこはキッチリしたいからな。まぁ、投げ銭なんてそんなに貰えないだろうから期待されても困るけどさ。収入の50%はウロちゃんに払いたいよね。
「ひ、
なんでだよ?
「そういえば
「ああ。前回はバゴーザーの燃料にしたね」
今回はどうなんだろう?
バゴーザーには燃料が切れそうになったら報告するように言ってるけど?
「ちょっと今、どれくらい?」
『ウマ』
内在魔力
9300/10000
あんまり減ってないね。
アイテムボックスには魔晶石が1個収納されてるけどさ。
「補充した方がいいかな?」
「それなら売った方がいいわよ。魔晶石は貴重だからね」
売れるんだこれ……。
「ふふふ。特にボスのはいい値段するんだから」
そういえばこの前食べた魔晶石はあっという間に満タンになったな。
「ダンジョン市役所に行きなさい。そこで探索者の登録もできるから、同時にするといいわ」
「それってやらないとダメなの?」
「恩恵はすごくあるわよ。入院保険にクエストの依頼。アイテムの売買。情報共有なんかが主ね。ウロちゃんも探索者登録するといいわよ」
「わ、
「えーーと。それって高校生でできるの?」
母さんは棚から書類を取り出した。
「ふふふ。こんなこともあろうかとね。推薦状を書いておいたのよ」
おお。流石だ。
「なら、明日は日曜だし、行ってみるよ。あ、市役所は休みかな?」
「ふふふ。ダンジョン市役所は24時間365日フル稼働よ」
すごっ!
そんなわけで次の日。
「きょ、今日もよろしくお願いします」
ウロちゃんは紫色のミニのワンピースを着ていた。
私服、可愛い〜〜。
ザ、女の子って感じだな。
所々レースが付いててなんだか上品な感じもあるよね。流石はお嬢さまだな。
「いつもそんな私服なの? 可愛いね」
「ひ、
「ははは。まぁ、動きやすい感じ優先かな」
「か、かっこいいし。か、可愛いです。濡れます!」
どこがだよ?
手に汗をかくということだよね?
「んじゃあ、バゴーザー白馬モードに乗って行こうか」
「はい♪」
私はウロちゃんとともにダンジョン市役所に向かって馬を走らせた。
パカランパカラン!
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