File37
「やめろ! やめてくれ! お願いします! もう悪いことはしませんから、許してください」
恐田氏が涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら泣き叫んだ。理性が吹き飛んだ、ただし子さんに恐田氏の悲痛の声は届いていないらしく、一ミリも躊躇することなく、恐田 狡毅を落下させた。すんでのところで、二家の白い焔が恐田ジュニアと針の山の隙間に入り込み、彼は串刺しにならずに済んだ。
「あなた、なぜ、私の邪魔をするの? もしかして、こいつらの味方なの?」
ただし子さんの鋭い眼光が二家に向けられた。
「違いますっ!」
「ならば、あなたの体、私に頂戴よ。私はもっと生きて走りたかった……成仏なんかしてたまるもんかっ!」
ただし子さんの黒い焔が禍々しさを増して二家に襲い掛かってきた。二家は白い焔で応戦するが、僅かに押し負けている。二つの巨大な霊力がぶつかり合った衝撃で結界が地響きを立てて崩壊した。
「ぐぐっ」
二家は歯を食いしばり抗うが、地を踏みしめる足がずりずりと後方へと押し出されていく。
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