File14
「あっ! 終夜先生っ! お疲れ様ですっ!」
久しぶりに部室を訪れた終夜先生に部員一同が挨拶をした。
「やあ、諸君! 中々顔を出せなくて申し訳ないね。ただでさえ忙しいというのに、このような興味をそそられ……物騒な事件が立て続けに起こったものだから、教職員たちもてんやわんやの大騒ぎでねえ。おおよその話は佐茂くんからシェアしてもらっているから安心するといい」
終夜先生は、部室の隅に立て掛けてある先生専用の折り畳み式のフットレスト付きリラックスチェアに長い脚を投げ出し猫のように伸びをした。
「私も今回の怪異事件について、教師たちの目を盗んで情報を収集していたのだよ」
そう言いながら、青い瞳をきらきらと輝かせた。
「美魂さんと一緒に、ドア越しに話を聞かせてもらっていたのだが……」
(えっ? なぜ、普通に入ってこないの?)
と、皆、一斉に心の中でツッコミを入れた。
「二十四年前に、陸上部員で風紀委員長でもあった風速 正子くんを死に追い込んだ輩たちはいったい誰なのか? というところから話してもいいかい?」
「はい!」
「黒幕は、
終夜先生は唾を吐き捨てるようにして言った。
「なるほど……主犯格の奴らの子どもたちが、二十四年の月日を経て、奇しくも、この降魔高校に集ったわけなんですね?」
と、佐茂。
「そういうことになるな。しかし、これは机上の空論に過ぎない。私は、直接、風速くん……否、『ただし子くん』と呼んだ方がフレンドリーであろうか……ただし子くんに直接会って話を聞いた方が良いと思うのだが、どうだろう?」
そう言うと、美魂さんが、終夜先生の手の甲をかぷっと噛んだ。終夜先生がギャッと奇声を上げて悶えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます