File08

「頭が良くて優しい子ねえ……頭が良いは兎も角、優しい子ねえ。『この親にしてこの子あり』なんだなあ」

 佐茂がさも呆れたように言った。

「『百鬼中学』で息子が起こした悪行を父親の権力で揉み消しておいて、この母親が何も知らないっていうのは不自然なのです」

 と、二家。

「恐田 狡毅が消息不明っていうのは分かったけどさ、それと、ヤツとそっくりな銅像とは関連があるのかなあ」

 と、虎丸。

「こればかりは、実際、その銅像を見てみないと何とも言えないんだなあ。小生は芸術分野には疎いから詳しくはないんだが『スタチューパフォーマンス』っていう人間が銅像になりきる大道芸もあるらしいし」

 と、佐茂。

「恐田のことを恨んでいる人は多そうだから、恐田を睡眠薬で眠らせるとかして、その間に銅像っぽく仕立て上げたとか?」

 虎丸が首を傾げた。

「でも、そうだとしたら、恐田は動くことが可能なんじゃないです?」

 二家も首を傾げた。

「ねえねえ、霊音。浮遊霊や地縛霊たちの中で、特に怯えていた子たちが同じ言葉を言ってたの気にならないなの?」

 美魂さんがルビーみたいな瞳をキラキラさせながら二家に言った。

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