epilogue
虫谷ビル内テナントの会議
日本放送本社が入っているビル、 会議室。
プロデューサーの
「えー、 では今回のアイドルデスゲーム参加者ですが・・・
今回も参加するのは大日本芸能総省、 アカシックチャイルド
ボーラスタースタジオジャパンの三強だけですね」
溜息が吐かれる。
第50回目のアイドルデスゲームにおいて
アイドルデスゲームに参加する為には
ランミの行った凶行により参加アイドルと所属事務所は
それぞれ身元の保証が必要となった。
速い話が監視を付けると言う事なのだが
監視員の買収によりアイドルデスゲームを有利に運ぼうとする者や
監視員による恐喝などが横行。
結果としてアイドルデスゲームのボイコットが多発し
アイドルデスゲーム自体が盛り上がりが無くなると言う事態に発生。
今では大日本芸能総省、 アカシックチャイルド
ボーラスタースタジオジャパン、 通称三強のみの参加となっている。
「うむ・・・皆の意見を出し合って盛り上げる様にして貰いたい」
既に老境に入り長い事経った社長の梅干が意見を求める。
「もう既にアイドルデスゲーム自体が古いコンテンツですよ
新しい企画を考えた方が良い」
企画制作部部長の
「馬鹿な!! 既に500年以上続いた伝統ある番組だぞ!!
辞めるなんてありえない!!」
ぜぇぜぇと肩で息をする梅干。
「しかしですよ、 既に株主の間ではアイドルデスゲームの廃止を求めています
そもそもアイドル自体が下火になっていて
ヴァーチャルアイドルが主流になっています
過去にはヴァーチャルアイドルよりも凄いアイドルの出現もありましたが
ヴァーチャルアイドルに勝てるような逸材は現状現れないでしょう
そもそも三社だけの試合ですし、 如何やって盛り上げろと言うんですか」
「~~~~~~~~~~~~!!」
梅干は立ち上がるも直ぐに倒れて、 部屋の外に運ばれた。
「・・・はぁ・・・」
赤石が煙草に火をつける。
「君等もやってくれ」
次々と皆が煙草に火をつける。
「社長、 大丈夫ですか? 最近倒れる頻度多いですが・・・」
「なんやかんや色々やって長生き出来る様になったが
流石にそろそろ逝きそうな所だよなぁ・・・
つーか逝ってくれないと困る、 後継も育ってないし」
「育ってないんじゃなくて巣立ってますよ
良い腕の連中は自分で会社立ち上げてますよ」
大神田も呆れて言う。
「東北の・・・なんでしたっけ
昔相打ちで優勝した」
「舞原?」
「その舞原のマネージャーとウチを辞めた前の企画制作部部長が
タッグを組んでケーブルテレビ局初めて
かなりの利益を上げているとか」
「地域密着型だとかで全国展開はしないらしいから喰い合いは起こらないが
・・・・・やはりいい人材を失ったよ・・・」
遠い目をする赤石。
「梅干さんは元々、 昔のアイドルデスゲームの不始末の責任を取った
当時の社長の代わりに社長になったからな、 能力は歴代社長の中でも劣っていた
それでもアイドルデスゲームが人気だったうちは大丈夫だったが
人気低迷が原因でこの様だ、 日本放送本社も本社社屋を手放して
今じゃあテナントだ」
「やりきれねぇ・・・」
煙を噴き出す大神田。
「と言うかもう視聴者が飽き始めているんだよな
アイドルデスゲームのアーカイブを見ていると52回目を境に
クオリティが下がっている」
「そうなんですか?」
「あぁ、 命乞いとかしているアイドルとかも居るし」
「えぇ? 命乞いしないアイドルとか居るんですか?」
「あぁ、 50回以前ではアイドル達のモチベーションも凄かったよ・・・」
「何処で見れます?」
「日本放送オンデマンド」
「あぁー・・・じゃあ良いですわ」
日本放送オンデマンドは日本放送がこれまで作った番組全てを見る事が出来る
オンラインサービスである。
しかしながら最短でも6ヶ月は加入しないと解約できなかったり
解約手数料が高く、 毎月の支払も相当に高い。
このオンラインサービスの利用権の又貸しビジネスが罷り通る位には
高額のサービスになっている。
「昔のアイドルデスゲームには態々総理まで出て来た」
「???????」
首を傾げる大神田。
「兎に角今はアイドルデスゲームの企画を考えるか・・・
つっても出るアイドルも何だかゴミなんだよなぁ・・・」
本当に禄でも無いアイドル揃いである。
アイドルデスゲームはトップアイドルを目指す為の物だったのに
今では成り上がれる手段を持たないアイドルが
成り上がる為になる物と成り果てている。
「ぶっちゃけガチで株主総会を利用してクーデターを起こして
社長追放とかした方が良い無いんですか?」
「だな・・・つってもその後釜に誰が座るか・・・
ぶっちゃけ日本放送は斜陽だし社長になりたがる奴はいないんだよなぁ・・・」
はぁ、 と溜息を吐く面々。
彼等は安泰と思ってこの会社に来たが実情は芳しくない。
日本放送はこれから如何なるのだろうか・・・・
「俺達もさっさと辞めて他に移った方が良いですかね」
「だな、 転職先を決めた方が良い」
少なくともサラリーマンの彼等には関係無い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます