FinalStage:【仇討ち競争】
仇討ち競争
仇討ち。
その言葉を聞いた瞬間に三者三様にどくり、 と心臓が鳴った。
仇、 とは誰か?
ここは何処か、 照星よばり記念船舶コンサートホールだ。
そしてそこで行う仇討ち、 即ち・・・
「「よばり様暗殺犯・・・!!」」
照星よばり暗殺犯を殺害する事が勝利条件!!
そして舞原と華激の二人で戦うのならば必然・・・
「「・・・・・」」
ランミを見る二人。
幾らおいてもトップアイドル、 こんな小娘に殺される訳がない。
「・・・・・説明をお願いします」
欄は説明を求めた。
『ルールは簡単、 照星よばりを暗殺したランミ・キスーを
先に殺害した者が次のトップアイドルだ』
「よばり様がこんな女に殺されるとは思えない、 証拠は有るのですか?」
欄は問う。
『よばり様は死ぬ前に映像記録を残していた』
「映像記録を?」
『その通り、 よばり様は交渉や取引をした時の為に
映像記録を常に残していた、 どういう手段かは分からないが
よばり様は死後、 私のアドレスに暗殺犯の情報を転送した
解析に時間はかかったがつい先ほど判明した』
ナノマシンを注入して監視していた、 とは言えないので
嘘を吐く杉野。
「信じられませんね、 何故こんな娘がよばり様を暗殺できるのか
理解に苦しみます」
「可笑しな事じゃないでしょ」
ランミはくすりと笑った。
「暗殺者の格が暗殺対象よりも低いなんて事はザラに有るわ
大統領暗殺犯が大統領よりも偉いなんて事は無いでしょ?」
「暗殺技術の事を言っている、 お前の技術ではよばり様を殺すのは不可能だ」
「あら、 私が普通に喋れる事を知らなかった貴女が
私の実力を把握しているって言うの?」
挑発的な笑みを浮かべるランミ。
「・・・・・・一つ聞きたい」
舞原が尋ねる。
「なぁに?」
「チーフADも死んでいたけどもそれはアンタの仕業?」
「目撃されたから消しただけよ」
「そうか、 殺す」
マイクでランミに殴りかかる舞原。
舞原に銃を突きつけるランミ。
そして二人を刺し殺そうと薙刀で突く欄。
『始まっているけど決勝戦開始イイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!』
杉野の声が響いた。
舞原、 ランミ、 欄の三つ巴、 互いに攻撃をいなしながらも移動する。
互いに膠着状態は望まない。
それ故に動き続けるのだ、 まずは甲板を全力で疾走する。
「おいおい!! いきなり激し過ぎるよ!!
何で私がよばりを殺したのか気にならないの!?」
ランミが笑いながら尋ねる。
「知るかッ!! 殺すッ!!」
「興味無い」
舞原は激昂しながら、 欄はクレバーに答えた。
「つれないな!!」
パンパン、 とピストルを撃つランミ。
明らかに狙っていない。
「「跳弾!!」」
二人は即座にランミの意志を察知、 回避行動に移る。
ランミはその隙に全力で走って逃げた。
「・・・・・」
欄は薙刀を構える。
「念の為に聞きますが、 今舞原を殺して後の憂いを断つのは大丈夫ですか?」
『ルール上問題有りません
ついでに言えばこの決勝戦はランミを殺してトップアイドルを決めた場合
敗北者はそのまま帰宅して頂きます』
「命は取らない、 と?」
『えぇ』
プライドは失われるだろう!!
とは声に出さずに舞原に薙刀を振り下ろす爛。
しかし舞原は欄を無視してランミに一直線に走る。
そして銃声。
「っ!!」
薙刀で何とかガードする欄。
攻撃の隙を突かれたか・・・ランミを放置していたら狙撃されるが
舞原を殺さなければ屈辱は晴らせない・・・!!
もしも舞原を殺せなければ殺す機会は二度とないだろう!!
殺人が合法化されるのは『アイドルデスゲーム』の時だけだ!!
日常生活で殺人なんか起こしたら一大スキャンダルだ!!
「逃がすか!!」
舞原の背を追う欄。
ランミが逃げて行ったのは船の中、 廊下が続く。
壁一面にはよばりを様々な者達が描いた物が延々と続いていた。
著名な芸術家、 有名アーティスト、 トップ漫画家
先鋭芸術家、 AI物書き。
天井からはシャンデリアが伸びる。
「っ」
欄にとっては狭くてやり難い、 薙刀が通らないだろう。
通常の船舶ならば壁毎破壊出来るが
流石に照星よばり記念船舶コンサートホールは安普請ではないのだ。
パンパンパン
案の定この狭い通路でランミが銃を撃つ。
だがしかし舞原が前に進み続ける。
全て回避しながらもランミに肉薄する。
「やるなぁ!!」
「殺すッ!!」
舞原の連打、 熊すら撲殺しフェザー級ボクサーのスピードすら凌駕する連打を
容易く捌き切るランミだった。
「この程度!! なんて事は無い!!」
ランミは蹴り上げて舞原を吹き飛ばす、 吹き飛んだ舞原に銃口を向けるも
欄は薙刀を持って振り落とす。
「っ!!」
またしても回避される欄。
そして欄も即座に距離を取る。
(なるほど・・・・・この決勝戦・・・・・思った以上に考える必要がある・・・)
欄は超高速で思考を巡らせていた。
舞原は相も変わらずランミに突っ込んでいたが欄は静かに考えるのだった。
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