第5話

私は不思議に思った。


私はこの領地に来たことがなかったし、彼らとも面識がなかった。


なぜ彼らは私に対してそんな感情を持っているのだろうか?


イザークは説明した。


「お嬢様、実はこのメルドルフ領は、かつて貴族の間で忌み嫌われていました。魔物や盗賊が跋扈する危険な土地だからです。しかし、お嬢様のご先祖様であるメルドルフ公爵閣下がこの領地を治めることになりました。公爵閣下は魔物や盗賊と戦って領地を守り、領民や家臣たちに恩恵を与えました。それ以来、メルドルフ家の人々は皆、領民や家臣たちから敬愛されています。お嬢様もその一人です」


「私も……?」


私は驚いた。


イザークは続けた。


「はい。お嬢様はメルドルフ家の末裔であり、この領地の主です。そして、お嬢様は王太子殿下と婚約されていました。それはこの領地にとっても大きな栄誉でしたし、希望でした。しかし、王太子殿下がお嬢様に婚約破棄を言い渡したことを知った時、皆が怒りと悲しみに包まれました。王太子殿下の非道さと無礼さに対してです」


「そうだったの……?」


私は涙ぐんだ。


イザークは笑顔で言った。


「でも、その後にお嬢様がこの領地に戻られることを知った時、皆が喜びに沸きました。お嬢様が無事であること、そしてお嬢様が自分たちの主であることに感謝しました。彼らは皆、お嬢様を迎える準備をしましたし、お嬢様と一緒に暮らすことを楽しみにしています」


「そうなの……?」


私は感動した。


イザークは真剣な表情で言った。


「お嬢様、どうか安心してください。このメルドルフ領では皆、お嬢様の味方です。そして私もお嬢様の味方です。どんな困難があろうとも、私達は共に乗り越えます。そして必ず幸せになります」


「イザーク……ありがとう……本当にありがとう……」


私は彼に感謝の言葉を述べた。


イザークは微笑んだ。


「どういたしまして。これからよろしくお願いします」


馬車は城内に入った。


そこでは領民や家臣たちが歓迎の声を上げていた。


私も彼らに手を振って応えた。


私は心から笑顔で思った。


レオンなんか要らないわ……


私はこの辺境で幸せに暮らすつもりだから……


(完)






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婚約破棄された悪役令嬢は辺境で幸せに暮らす~辺境領主となった元悪役令嬢の楽しい日々~ 六角 @bdj

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